人とつながって幸せな時間を共有したい
自分たちが楽しいこと、幸せだと思うことを他の人にも紹介して、一緒に楽しんでくれたら嬉しい。
だから楽しいこと、幸せになれることを発信して周囲の人も一緒に楽しみたい、幸せになりたい。
そんな思いでミニコンサートや手作りマーケットを企画し、素敵な時間を提供している『Te to Ki』。
ユニットの一人、田村環さんに活動を始めた経緯などを伺った。
【動物が好き、人が好き、手仕事の温もりが好き】
窓一面に公園の新緑が広がる明るいリビングで出迎えてくれた田村環さん。自然素材をふんだんに使った居心地のいい家の各所には、田村さんが趣味で集めた小物や陶器が飾られ、安らぎを与えてくれる。田村さんの本職は獣医師。小さい頃から動物が好きで、家ではパピーウォーカーとして将来盲導犬となる子犬を育てている。
動物と対話をする毎日だが、好きなのは動物だけではない。「動物はもちろん人も、人が愛情を込めて作った作品も好き」と語る田村さんは、思ったことはすぐに実行に移す行動力のある人だ。人とつながっていたい、人が愛情を込めて作り出した作品を大事にしたい、そんな思いを形にするべく『Te to Ki』というユニットを作って活動をしている。もう一人の相棒は近所に住む薬剤師の冬室泰子さん。子どもが同級生だった縁で知り合い、意気投合した二人は、交流を深めるうちにユニットまで作ってしまったのだ。
【人とのつながりの中で自分ができること】
田村さんを一言で言うと「人と人を結びつけるのが上手な人」と周囲の人は声を揃える。ご主人の転勤で茨城に引っ越し、当初は知り合いが一人もいない土地で家にこもっていた事もあった。そんな日常が変わったのは、長女が幼稚園に入園してから。「子どもたちが皆優しく、のびのびと過ごしている様子に安心しました」と選んだ幼稚園は、父母の参加を大切にする園。「当時知り合った方々とのつながりが、今の活動の原点になっているのかもしれません」と言う通り、今でもお付き合いを続けている方がたくさんいるそうだ。
「気になる人がいるとつい話しかけてしまうんです」という田村さん。人付き合いのよさや気さくな人柄が人を呼び、気付いたらたくさんの人とのつながりができていた。芸術家や建築家、グリーンコーディネーター、美容師、酪農家などさまざまな人と出会う中で、この人とのつながりを何かに生かせないかと考えるようになった。
そんな折、子どもの通う小学校で将来の社会的・職業的自立の基盤となるような能力を育てる「キャリア教育」を行なっていることを知る。そこで一人の保護者として子どもたちのためにできることはないかと思い、いろいろな職業の人に子どもたちと接してもらえるよう働きかけをした。協力が得られた13もの職業の方を小学校に招いて子どもたちに仕事について語ってもらい、子どもたちの質問に答えてもらった。初めての体験で戸惑う人も多かったそうだが、協力してくれた人からは「とてもよい機会を持たせてもらいました」と感謝され、参加した子どもたちからは「普段聞けない話を直接聞けて、とても勉強になりました」と大変好評だった。そして田村さん自身も人とつながることの意義や楽しさを改めて実感することができたという。
【みんなで豊かな時間を共有したい】
そんな活動的な田村さんに共感したのが冬室さん。『Te to Ki』というユニット名は“てきとー”をもじったものだが、実は手と手を取り合うことが好き、木も、気持ちを伝えることも好き、という二人の思いがいっぱい詰まった名前なのだ。自分たちが楽しいことをやる、楽しいことをやりたい人を応援する。そのために考え、動く。「自分たちが楽しいと思うことを皆で一緒に楽しみたい」というのがユニットのコンセプトだ。
『Te to Ki』としての最初の活動『はじめの一歩展』はミニコンサートと手作りマーケット。ピアノとソプラノ・アルトの音楽家三人を招き、彼女たちの演奏を楽しみつつお茶と手作りのお菓子でもてなす会を冬室さん宅で、布作家を中心にした手作りマーケットを自宅で開いた。手仕事の温もりが好きな田村さんには、陶器や木工細工、布作品など作家さんたちの愛情がたっぷり詰まった作品を愛情をもって使ってくれる人に手渡したい、「命」ある素晴らしい作品を多くの人に知ってもらいたいという思いがある。自宅をギャラリー風に開放した手作りマーケットは作り手と使い手の橋渡しとなり、出展してくれた作家さん、コンサートやマーケットに来てくれた皆さん、もちろん自分たちも一緒に楽しい豊かな時間を共有することができた。
そのときの皆の笑顔を励みに二回目の『どうにか二歩展』を企画。近くの友人も巻き込んで、趣の違う二軒で散策マーケットを行なう予定だったのは震災直後の3月15日。まだ日常生活に支障をきたす状況の中、開催すべきかぎりぎりまで悩んだが、こんなときこそ人とつながりたいと、作品は少なくなってしまったものの開催を決めた。窯や作品が壊れつつも益子から駆けつけてくれた陶芸家、参加を諦めざる得なかった作家さん…。いろいろな人の思いがこもった手作りマーケットになったが、人とつながりたいという同じ気持ちのたくさんの人が足を運んでくれた。そして得られた収益金は被災地の方々へ。改めて人は人とつながっていることを強く感じたイベントとなった。
『Te to Ki』の活動のもう一つの目的は、地域の人たちとの交流にある。地域で活動している手作り作家さんや農家の方を紹介したいという思いと、地域を元気にしたいという思いだ。スイスで生活したことがある冬室さんがイメージするのが、地域に密着した小さな市場“ビオ・マルシェ”。それは地域の人が自分で作った野菜や果物、パン、チーズなどを並べた小さな市場。散歩がてら会話を楽しみつつ購入するのが、何より楽しみだった。ゆっくり流れる時間の中で生産者と交流する楽しさ、それを体験できる場を地元にも作りたい。他所から来た人が多く住む守谷だからこそ、地域のつながりを大事にして、子どもたちに伝えていきたいと思うのだ。
【出会いとつながりを大切に】
二人が大事にしている「出会いとつながり」。これをこれからどのような形で表現していくのか。「深いことを考えず、やりたいことをやっているだけ」と謙遜するが、まだまだアイデアがいっぱい詰まっていそうな予感。これからも地域の人を巻き込み、楽しませてくれるような企画を考えてくれるに違いない。
家族があり、仕事も持ちつつ、好きなギャラリー巡りをしたり、陶器市に行ったり、面白いことを企画したり…。どれが一番ということはない。全部があって“自分”。仕事も含め暮らしを丸ごと楽しんでいる、そんな素敵なお二人は、これからの女性の新しい生き方のお手本になるかもしれない。
プロフィール
田村 環 Tamaki Tamura
三重県生まれ。守谷市在住。
龍ヶ崎市のどうぶつ病院勤務。
結婚後、夫の転勤で茨城に転居。
茎崎町(現つくば市)、牛久市に住み、現在の守谷市に引越して4年。
主婦業・獣医師の傍ら冬室泰子さんと『Te to Ki』を結成。
自分たちが楽しいこと、地域が元気になることを考え、イベントを企画・運営している。
二女(中2と小5)の母。
投稿者プロフィール

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