vol.20:音の樹ふぁーむ 嶋村 陽子

vol.20:音の樹ふぁーむ 嶋村 陽子

  • 2023年8月23日 
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お出かけ

まだまだ暑い日が続きますね!バーベキューで夏野菜を楽しんだ方も多いのではないでしょうか。

新鮮なものを手に入れられるのが魅力の地場産の野菜ですが、その作り方にもこだわった自然農法をご存知ですか?

今回は、つくばみらい市で自然農法に取り組む「音の樹ふぁーむ」の野良ネーム「シマコ」さん こと 嶋村陽子さんにお話を伺いました。

農薬・肥料を使わず虫や草と共存する自然農法

いつから農業に取り組まれているのですか?

以前からお花を育てるのが好きで、家の中がグリーンでいっぱいになるほどでした。

15年前、愛犬サクラが大好きな、小鳥のさえずりがあふれる小貝川の近くに住まいを移し、庭でハーブや野菜を育てているうちに、本格的に農業を学びたくなりました。2015年にの師匠・風の里 さいとうファームの先代に弟子入りし、1年間ほど有機栽培のノウハウを学んだ後、自然農法の道へ歩み出しました。

面白い形の畑ですね。

この畑は、元々の地形を生かして2022年に開墾。ずっと円形のハーブガーデンを作りたかったんです、可愛いから(笑)。もちろん可愛いだけでなく意味があり、畝(うね)を円形にすることで風の動きなどを緩和したりできるんですよ。

春はハーブなどの花が咲き乱れ、本当にきれいです。花々にミツバチが訪れる姿も愛おしいです。

名前「音の樹ふぁーむ」の由来を教えてください。

「音の樹ふぁーむ」は夫婦で農業をしていますが、私は音楽の先生もしています。

音楽教室の生徒さんたちは、みんな個性がキラキラと輝いてる。それぞれの個性を活かして美しいハーモニーを奏で、素敵な「音の樹」を作ろうよ!という想いで、レッスン室に「音の樹」と名付けました。

とても気に入っていて、農業の屋号にも使っています。

自然農法だとお聞きしました。

私がやっているのは農薬・肥料を使わず虫や草と共存する自然農法です。畝も一度作ったら後は耕さずに自然の仕組みに沿って循環が維持できるように努めています。

植物には本来、自分で育っていく力があります。来てほしい昆虫を呼び寄せ、来てほしくない昆虫は遠ざけることができる力があったり。

植物がもともと持つ力を最大限に発揮できるように環境を整えてあげれば、農薬や肥料を施さなくても野菜は育つことができるんです。

どのように環境を整えるのですか?

風、土壌、水、周囲の植物などを人の手で整えます。

例えば、周囲の植物。

植物にも相性があり、野菜の側に植えると良い影響をもたらす植物をコンパニオンプランツと呼びます。協力関係やライバル関係などがあるんですよ。

コンパニオンプランツを植えるのには、タイミングと距離がとても大事。

例えば、トマトとバジルはライバル関係で、競い合って育ちますが、バジルが先に大きくなると、トマトが負けてしまう。トマトを美味しく育てるには、小さなバジルを後から植えるくらいがいいんですよ。

野菜の周りに生えている草も、野菜が育つのに役立っています。

雨のない日が続く時は、草に集まった夜露で、野菜が水を得ているんです。

野菜の根元の土を覆う草マルチに使用したり、緑肥としての役割もあります。

農業の中でも、なぜ自然農法を始めたのですか?

私は20代の時に処方された薬で重い副反応が起き、健康と職を同時に失い、とても苦しい体験をしました。

副反応が治った後も、化学物質過敏症という体質で生きていくことに。

夫も持病があり、症状が重い時は食べられるものが限られる辛さがあります。

その状況に困惑して、何を食べてどうやって暮らせばいいんだろうと、懸命に調べました。

食品については素材、製造過程、添加物など、水、洗剤のことなど。たくさん本を読み勉強しました。

その学びがきっかけで、人間の暮らしを便利にする商品の製造過程で、自然、つまり野生の生き物が暮らす環境を破壊していることもあると知り、まず、びっくりしてしまいました。そして、今のこの瞬間にも、野生の生き物たち小さな虫や鳥たちがちゃんと食べていかれる自然環境はあるのか?悶々と悩んでしまって。

野生の生き物たちの環境、そして人間の子どもたちの未来に、恵み豊かな地球の大地を繋いで行くことこそが、今、自分にとって一番大事なことだと思ったのです。

そのためにできることは何かと考えた時、自分にとっての答えは虫や草と共存する自然農法でした。

自然農法で大事にしていることは?

自然の仕組みに沿う“ことです。

不自然なことはせず、生物多様性が保たれた健全な土壌を維持できるように常に手入れしています

そして私たちは自然からの恵みを頂いてばかりなのですから、自然へのお礼として何か出来ることはないか?と考えた時、植物の種を採取し次世代に繋げていくこと、その一つになるかなと思い、固定種、在来種にこだわって栽培しています。

とても小さな種をまいて、可愛い双葉が出て、天に向かってたくましく育っていき、花が咲き、やがて実をつける。この美しい過程を見られることに、この上ない喜びを感じています。

生活上のポリシーはありますか?

自然に還らないゴミはできるだけ出さないようにしています。

買い物をする時は、商品の製造過程で環境への負荷をできるだけ少なくしている企業のものを選び、使用後を考えて商品を選ぶようにしています。

農作業用の野良着にしている藍のシャツや柿渋染めのズボンなども染め直しながら大事にしたいと思っています。自然素材のお気に入りを着ていると、とっても気分よく働けます!

ヘチマスポンジは、キッチンやお風呂のスポンジとして、薄く切って石けん置きとして使え、使い終わったものは地球に還ります。

音の樹ふぁーむの恵み、いただきました♬

ふぁーむの魅力を紹介します!

ジャガイモ「タワラムラサキ」はオススメのジャーマンポテトに。甘みがあってホクホクと美味しい♫

トマト「妙紅(みょうこう)」は甘みと酸味のバランスがとてもよく、生でいただくのが良いですね!

個性豊かなプチトマトたち。

赤色の「ステラ」は深みのある味わい、黄色の「アイスレモン」はスッキリさわやか。オレンジ色の「イエローピコ」は味が濃厚でバランス良し。

京の伝統野菜「伏見甘長(ふしみあまなが)」は、シンプルに焼きびたしに。適度な苦味と味わいが深く、たまにピリッと辛いものもあって、野菜本来の美味しさを味わえます。

そしてピーマンは、緑の「カリフォルニアワンダー」と、白の「浜ニュークリーム」。ベーコンと炒めてみました。野菜の甘みがしっかり感じられ、ピーマンが苦手な我が家の子どもたちも美味しい!とパクパク食べていました♫

雑穀ミックスは、白米に混ぜて炊いてみました。米3合に大さじ1杯くらいのバランスが良いそう。もちきび、たかきび、もちあわ、はだか麦がミックスされプチプチとした食感でお米の甘味がぐんと増します♫

農作物だけでなく、台所用液体石けんなどの商品も販売しています。

ふぁーむで育てたハーブで作ったハーバルバス(ハーブの入浴剤)を試してみました。季節感に合わせたレシピで作られるハーバルバスは、手にとっただけでホワンと良い香りが広がります♫ お風呂に入れると清涼感ある香りがただよい、まるでハーブガーデンにいるような気分に。それぞれの成分がお湯に溶け出して、とってもリラックスできました!

笑顔でほがらかなシマコさん。そのお人柄と野菜の美味しさから、出店先でも次から次へとお客さんが絶えません。私が見学させてもらった自然農法の畑も、何人も見学に来られたそう。

美味しい野菜を頂いて、それが環境を守ることにつながれば、言うことなしですね。

自然を大切にし、丹精込めて作られた「音の樹ふぁーむ」の作物たち、ぜひオススメです。

音の樹ふぁーむ

インスタグラム : https://www.instagram.com/otonoki_farm/

「音の樹ふぁーむ」の季節の野菜は、つくばみらい市の雑穀米と新鮮野菜専門店「お米と暮らし」や、つくば市山新グランステージで毎週日曜開催の「オーガニックファーマーズマーケット」で購入できます。

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シンヴィング編集部

1994年創刊の地域情報紙シンヴィング。 もっと『守谷』『取手』『つくばみらい』を合言葉に茨城県南地域の情報をお届けします。

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