vol.21:ラトリエ・ドゥ・カナルショコラ 増田佳愛

vol.21:ラトリエ・ドゥ・カナルショコラ 増田佳愛

  • 2023年8月30日 
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テイクアウトふるさと納税

取手市にチョコレート工房「ラトリエ・ドゥ・カナルショコラ(L’atelier de Kanaru chocolat)をオープンした増田佳愛(ますだかなる)さん。大学時代からガーナのカカオ生産者支援活動に取り組み、現地で生産者と交流を続けてきました。

活動をする中で、ガーナでは政府がカカオを一括管理しているため、買取価格が低く、仕事に対するモチベーションも持ちにくいなどの課題を知りました。

その後、カカオ原料専門商社で働きつつ、カカオに関する知識や輸入のノウハウ、チョコレート製造の技術などを学び、自分にできる社会貢献と文化貢献を形にしたいと工房を開設。

世界で初めて、ガーナのエンプレーソ・アマンフロム村のカカオ豆を地域指定で輸入することにも成功し、世界各国から厳選したカカオ豆を使って本当においしいビーントゥバーのチョコレートを製造販売すると同時に、チョコレート作りの教室も行いながら、カカオを通して社会的・文化的貢献につなげていきたいと考えています。

チョコレート好きの原点は小学生時代

「チョコレートマニア」の佳愛さんが「チョコレートを食べる勉強」を始めたのは小学生のとき。お父さんの仕事の都合で、佳愛さんは2年生から6年生までフランスで過ごしました。たくさんのスイーツのお店が軒を連ねるフランスで驚いたのが、チョコレート専門店があったこと。日本ではケーキ屋さんの一角に置かれているイメージだったチョコレートですが、チョコレートだけを販売している専門店がたくさんあることに衝撃を受けたそうです。

お菓子が大好きで、将来はケーキ屋さんになりたいと思っていた佳愛さんですが、「チョコレート屋さん」があることを知って、チョコレートに興味が湧いたといいます。両親が大のチョコレート好きだったこともあり、家には常にチョコレートがいっぱい。「フランスのさまざまなお店のチョコレートを食べさせてもらいました。今の私があるのは両親のおかげです」と笑顔で話してくれました。

中学に入学するタイミングで日本に帰国し、帰国生が多くグローバルな視点で学べる茗溪学園中学校高等学校(つくば市)で中高時代を送ります。卒業後は製菓の専門学校に行こうと考えていましたが、将来の可能性が広がるようにとの両親のアドバイスもあり、言語のコミュニケーションツールを磨こうと上智大学文学部フランス文学科に進学。この選択が佳愛さんを世界へと羽ばたかせます。

チョコレート作りの技術を磨き知識を深める

国際的な視野をもった学生が多い上智大学で、佳愛さんは大いに刺激を受けます。

専攻学科の授業以外にも、自分の引き出しを増やそうとアフリカ史SDGsを学び、好きなことで世界に貢献できないかと考えるようになりました。好きなことといえばチョコレート!チョコレートで社会貢献することを本気で考え始めました。

チョコレートを作るのも好きだった佳愛さん。あるとき、「チョコレート作りには、ベルギーやフランスのクーベルチュールチョコレートが一番だと思って使っていましたが、実はそのチョコレートもカカオから作られているという当たり前のことに気付いたんです」。そしてチョコレートをカカオ豆から作ろうとビーントゥバーの研究を始めました。

チョコレートはカカオ豆をローストし、殻を剥いたカカオニブをすりつぶしてペースト状にしたカカオマスに砂糖を加えて作ります。最も重要なのがローストの工程で、カカオ豆の状態を見ながら温度や時間を調整していくことが必要とのこと。佳愛さんは技術を磨くと同時に、産地によって異なるカカオ豆の良さを最大限に活かすべく、カカオ豆についても勉強し、知識を深めていきました。

ガーナに魅せられ、カカオ生産者を支援

さまざまなことを学んでいく中で行きついたのが、カカオの産地の一つである西アフリカのガーナ

カカオは中南米やアフリカ、東南アジアなど多くの国や地域で生産されていて、生産者からカカオを直接買い付けてチョコレートを作るビーントゥバーも最近は増えてきました。しかしガーナは他の国とは事情が異なり、政府が一括で買い取り、管理しています。そのため買取価格も低く、生産したカカオは品質や産地に関わりなくミックスされてしまうため、良いものを作ろうというモチベーションにつながりません。

佳愛さんは大学時代に2か月ずつ2回、ガーナのエンプレーソ・アマンフロム村に滞在し、カカオ豆の生産者と生活して交流を深めるなかで、このような課題を目の当たりにしました。

そして学生団体『本当のガーナチョコレートを作るプロジェクト』のメンバーとして活動したり、ガーナと日本を繋ぎたいと『カカオ絆プロジェクト』を立ち上げたりし、さまざまな活動を通して生産者と関わり、支援の方法を探ってきました。しかし一方で、学生である自分ができることの限界も感じたといいます。

専門商社でカカオ輸入のノウハウを学ぶ

そんなときに声をかけてくれたのがカカオ原料を扱っている専門商社。カカオ豆の輸入のノウハウを学びたいと大学4年生のときに入社しました。それまでに培った豊富な知識を生かし、ビーントゥバーの作り手にカカオ豆の選び方最適な焙煎方法などをアドバイスしたり、メーカーに出向して商品開発品質管理に関わったりもしました。

そしてこの間にも、ガーナでお世話になったエンプレーソ・アマンフロム村のカカオ豆を産地指定で輸入できないか交渉を進めていきました。そして昨年、ついに世界で初めて、ガーナの地域指定のカカオ豆を輸入することに成功したのです。

家族の応援を受けてチョコレート工房を設立

こうして5年間の社会人経験を積んだ佳愛さん。念願だったエンプレーソ・アマンフロム村のカカオ豆の輸入をきっかけに、これまでの経験を生かし、カカオ業界の社会貢献・文化貢献に力を入れていこうと独立することを決めました。

お父さんに共同経営者になってもらい「合同会社Kanaru」を設立。

実家の庭先に小さな工房を建て、設備や機械などをお父さんがDIYで設置し、カカオの花を模した会社のロゴや商品パッケージは妹さんがデザインしてくれました。家族みんなの応援を受け、チョコレート工房「ラトリエ・ドゥ・カナルショコラ」をオープン!

ここでビーントゥバーのチョコレート作りに励んでいます。

カカオのおいしさにこだわったチョコレート

会社の理念は「カカオと愛で人と人を繋いでゆく」

「カカオに関する社会的・文化的な問題を解決に導き、カカオを通して社会的・文化的に貢献する」ことを使命としています。これまでカカオの生産者輸入者製造者購入者の4つの立場を経験してきた佳愛さん。チョコレートが大好きで、それぞれの立場からカカオに関わってきたからこそ生まれた強い思いです。

品質の良いカカオ豆を品質に見合った価格で買い、その原料を使っておいしいチョコレートを作り、購入してもらうことで生産者の支援につながります。そのような良い循環を生み出すためにも商品はおいしいことが大事。支援のために買ってもらうのではなく、おいしいから買ってもらうことがリピーター獲得につながると、「ラトリエ・ドゥ・カナルショコラ」のチョコレートは、味にとことんこだわっています。

常時用意されているのが、エンプレーソ・アマンフロム村のカカオ豆を使用したチョコレート

「エンプレーソ・アマンフロム ガーナ 70%」 10g×2枚 税込648円

その他に、ガーナ以外の産地のカカオ豆を使用したチョコレートも数種類用意されています。

(種類は時期によって異なります。)

使用しているのはカカオ豆100%北海道産の甜菜糖100%

甜菜糖は体を温める作用があり、体に優しく、すっきりした甘みでカカオ豆の風味をひきたててくれるとのこと。

一口食べれば、大量生産のチョコレートとは全く違うものであることを実感します。

カカオ豆は苦いというイメージがありますが、苦味よりも断然強く感じるのは芳醇な風味

実はカカオはれっきとした「果物」。カカオ豆は果肉に包まれた種子の部分なのです。

じっくり味わうと、優しい甘さの中に果実であるカカオ豆のフルーティーな香りや酸味が口の中に広がり、後味も爽やか。

数種類を食べ比べると、カカオ豆による風味の違いもはっきり分かります。

こちらは「ガトーオカカオ」 税込3780円

エンプレーソ・アマンフロム村のカカオ豆を贅沢に使い、カカオの風味を存分に味わえる濃厚なガトーショコラです。

表面に散りばめられた金箔は、カカオが換金作物となっているガーナ政府の買取制度に疑問を持つ佳愛さんの思いを表現したもの。

箱も換金作物をイメージさせるような金色で、カカオの麻袋をイメージしたファブリック素材を使用するというこだわりよう。そして小さくても生命力にあふれたカカオの花に自分を重ね、箱のデザインにカカオの花をあしらいました。

スタンド(店頭)でのみ販売しているのがチョコレートドリンク。

温かい「ショコラショー」 税込594円

冷たい「ショコラフロワ」 税込594円

ショコラフロワには、氷が溶けても薄まらないよう牛乳氷を使用しています。

こちらのチョコレートドリンクも、今まで飲んできたものとはまるで別物。

チョコレートの豊かな風味と優しい甘さで、心まで満たされるようなおいしさ。

コクがありつつも爽やかな甘さで、甘いのが苦手な人でもおいしく飲めそうです。

チョコレートで地域や社会に貢献を

これまで行動を起こすときには、「社会的・文化的に貢献するためには何をすべきか」を判断の基準にしていたという佳愛さん。さまざまな立場からチョコレートに関わり、最終的にたどり着いたのが現在のスタイル。

日本でもカカオ豆からチョコレートを作る人が増えてきましたが、おいしいチョコレートを作るためには、技術だけでなく、カカオの知識も大事。原料であるカカオを知ることで、産地やその年の出来によっても異なるカカオを上手に扱えるようなると言います。今後は作り手(製造者)ともどんどん繋がって、アドバイスをしたり、情報を共有したりして、おいしいチョコレートをもっともっと広めていきたいと考えています。

またチョコレート作りを教えながらカカオや産地についても知ってもらい、それが食育につながり、さらにチョコレート文化を育ていくことに貢献できればと願っています。

今後、商品は店頭と通信販売のほか、とくにフェアトレード商品を扱う店舗やイベントなどインパクトのある所に出店していきたいとのこと。

また地域にも貢献したいと、地元取手市のふるさと納税の返礼品にも加えてもらいました。さらに、地元の小中学生の職業体験などにも協力したいと考えています。

夢の一歩を踏み出したばかりの佳愛さん。あふれんばかりの「チョコレート愛」で、これからの日本のチョコレート文化をどのように発展させていくのか、ますます楽しみです。

【ラトリエ・ドゥ・カナルショコラ】

住所:取手市井野4912-4 MAP

営業時間:12:00~18:00

定休日:月・火・水・木曜日

TEL:0297-84-6250

インスタグラム https://www.instagram.com/_kanaru.chocolat_/ オンラインストア https://kanaru.square.site/

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シンヴィング編集部

1994年創刊の地域情報紙シンヴィング。 もっと『守谷』『取手』『つくばみらい』を合言葉に茨城県南地域の情報をお届けします。

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