和太鼓を通じて人とふれ合い、感動を共有したい
体の芯を揺さぶるような重厚な太鼓の音
勇壮で心に響く太鼓のリズム
祭りごとには欠かせない楽器として昔から存在し日本人に深く馴染んできた和太鼓を地域交流のきっかけにと18年前に発足した『坂東太鼓』。
その立役者となった石塚英三さんと会長の川島正常さんに『坂東太鼓』発足の由来や、太鼓にかける思いなどを伺った。
【名前の由来は『坂東太郎』】
沿岸の地域に多くの恵みを与えながらも暴れ川として知られていた利根川の別名『坂東太郎』。その雄大な流れをイメージして命名された『坂東太鼓』は、平成5年に取手市本郷で発足した。地元の東漸寺の奉納太鼓を復活させたい思いと、地域交流のきっかけ作りにと立ち上げた会も今では各種イベントや高齢者施設などから演奏を依頼されるようになり、年間20公演をこなすまでになった。
そんな『坂東太鼓』も最初は和太鼓の経験者が一人もいないゼロからのスタートだったという。講師の先生を依頼して指導していただくものの「楽譜もなく、見よう見まねで体で覚えていくしかない和太鼓にメンバーは四苦八苦し、最初の曲を仕上げるまでに二年かかりました」と石塚さん。習得できずに辞めていったメンバーも多いが、残ったメンバーは苦労して曲を仕上げたことでテクニックが上達し、自信も付いて、その後、演目を増やしていくことができたそうだ。
【和太鼓を通して交流活動を】
和太鼓にはいくつかの種類がある。お祭りや寺社でよく目にする大きな太鼓は長胴太鼓と呼ばれるもので、演奏の主役となる太鼓だ。一本の木をくり抜いた胴に皮(牛の皮)を鋲で留めて作られる。大きさもさまざまで、グループ演奏では複数の長胴太鼓を用い、見事なばちさばきを見せてくれる。他に縦に割られた板を寄せて胴を作り、皮を紐締めして張った「桶胴太鼓」、主にリズムを取ることに用いられる軽やかな音色の「締め太鼓」などがある。そしてメロディーを奏でる「篠笛」、「チャッパ・チャンチキ」などの鳴り物も演奏に欠かせない重要な楽器だ。
「和太鼓の演奏は、いわばオーケストラのようなものです」と語るのは26名のメンバーをまとめる会長の川島さん。「締め太鼓が指揮者でリズムを取ってみんなをまとめ、その他全員の気持ちが一つになったとき、人々に感動を与える素晴らしい演奏ができます。観客が手拍子と掛け声で演奏に加わってくれたときなどは、感動を共有できたような気がして本当に嬉しくなります」。
そんな会のメンバーが日ごろから心がけているのが、和太鼓を通した“ふれあい活動”。イベントでの演奏や高齢者施設の訪問などを通して、和太鼓の魅力を伝え、人との交流を大事にしている。そのため、演奏が終わった後には参加者が和太鼓に触れたり、ばちで叩くことができる時間を設けているという。嬉しそうに太鼓を叩く幼い子どもをカメラに収めるお父さん・お母さん、「90歳になって太鼓を叩けるとは思わなかった」と言ってくれるおばあちゃん。ばちを持つと皆、生き生きした表情になり、自然と笑顔になる。「演奏を見るのが楽しみで毎年来ているんだよ」という声や、感動のあまり握手を求めてくる方など、聴いてくれる人の喜ぶ顔が何よりの励みで、充実感でいっぱいになるという。子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の方が興味を持ち、親しみを持ってくれるのが和太鼓の魅力。演奏会の度に、和太鼓がもつ人を元気にさせる不思議な力を感じるのだという。
【和太鼓は全身で聴いてほしい】
「和太鼓は実際に演奏しているところを見て、体全身で音を受け止めてこそその良さがわかります。和太鼓は耳で聴くものではなく、全身で聴くものなのです」と語る川島さんが和太鼓と初めて出会ったのは中学時代。野球少年だった川島さんのチームが地区大会で優勝した際、祝賀会で和太鼓の演奏に迎えられ、その勇壮で力強いばちさばきと夜空に響き渡る荘厳な音色に心を揺さぶられたという。そのときから「いつか自分も叩きたい」との思いを抱き続け、勤めていた会社を退職した2006年、『坂東太鼓』に参加。長年の夢をかなえ、仲間にも恵まれて、今はみんなで心を一つにして演奏をすることに大きな喜びを感じているという。
第1・3土曜の練習日には連打・基本打ちに始まり、曲を繰り返し演奏するなど、4時間みっちり練習に励む。和太鼓の魅力は力強い音色とともに、華麗なばちさばきにあるが、その所作を習得するのは容易ではない。ピンと伸びた腕、高い位置から一気に振り下ろされるばちを持つ手。低い姿勢をしっかりと保ち、無駄のない機敏な動作で見る者を惹きつける。そんな日本の伝統芸能の美を表現するために必要なのは体力と筋力。50〜60代が中心のメンバーは演奏が終わると肩で息をし、手足の筋肉は張ってしまうそうだ。それでも自分の楽しみのため、演奏を聴いてくれる人のために日々体を鍛えつつ、練習に励んでいる。声を掛け合い、ばちに汗が飛び散る“快汗”を味わいながら、生き生きと練習している姿は、年齢を感じさせないエネルギッシュさに満ちている。厳しい練習を重ねた者しか演奏できないからこそ、和太鼓は演奏者も聴く人も魅了するのかもしれない。
昨年2月には取手市市民会館大ホールで開催された取手市太鼓連盟主催の『とりで太鼓の祭典』に出演。普段とは勝手が違うステージ上で1100名の大観衆を前に堂々と演奏をし、大きな拍手をもらってとても感動したという。今年の『取手宿ひなまつり』では2月11日(祝)オープニングパレードでの演奏を予定している。さらに磨きをかけた素晴らしい演奏を聞かせてくれるに違いない。
「これからも太鼓を通じて多くの方々と交流を図りながら、喜びと感動の発信源として地域の活性化に少しでも寄与することができるよう活動していきたい」と語る川島さん。これからも和太鼓の魅力を多くの人に伝えてくれることだろう。
プロフィール
(左)川島正常 Masatsune Kawashima / (右)石塚英三 Eizo Ishizuka
□主な演奏活動
1993年 地元の有志により『坂東太鼓』発足
2007年 茨城県出身力士『稀勢の里サイン会』での演奏
『ねんりんぴっく茨城』太極拳交流会での演奏
2010年 取手市太鼓連盟主催『とりで太鼓の祭典』に参加
□恒例参加イベント
・守谷ハーフマラソン
・取手宿ひなまつり
・鯉のぼりプロジェクトin岡堰
・八坂神社祭礼
・利根川灯篭流し
・利根川河川まつり
・とりで産業まつり
・緑化推進チャリティゴルフ
・はーとぴあ秋祭り 等
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