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全日本空手道剛柔会 史栄館藤代道場 副館長 空手四段 古橋 達也さん

投稿日: 2011年1月4日

全日本空手道剛柔会 史栄館藤代道場 副館長 空手四段 古橋 達也さん

己に厳しく、人に優しく

己に厳しく、人に優しく

古橋達也さんは、取手市の剛柔流空手道史栄館で小学生から大人までを対象に空手の指導をしている。自身も小学1年生から空手を始め、現在は生徒の指導にあたりながら、現役の選手として稽古を続けている。
2010年夏に行われた「全日本空手道剛柔会創立60周年記念、
山口剛史会長就任20周年記念全国大会」自由組手の部で、優勝を果たした。

冬の朝、凛とした空気と冷たい床の感触を身体に感じて、空手の稽古が始まる。独特の呼吸法「息吹」とともに、エイ!エイ!と気合を入れながら、突き、蹴り、受けの動作を繰り返すと、身体の中から力がわき、熱くなってくるのが分かる。空手を通して自分と向き合う時間だ。
史栄館藤代道場で空手の指導にあたる古橋達也さんが空手を始めたきっかけは、小学1年生の時、ブルースリーやジャッキーチェンなどアクション俳優の動きを見て、自分も鍛えればあんな風になれると考えたからだそうである。幼稚園の頃、仮面ライダーにもあこがれたが、それは作り物の世界。もちろん映画も作り物だが、生身の人間の動きは本物だと感じ、強さへのあこがれや、美しさを感じ、自分も強くなりたいと思った。そして、中国拳法の流れを組む武道である、空手の道場を探し取手市(旧藤代町)の空手道場誠空会(現・史栄館)を訪ねた。
道場では、指導者である師範が稽古をしていた。空手の動きとともに道着がパンパンと音を立てる。絹を引き裂くような裂帛の気合いが道場に響き渡っていた。その姿を目の前で見て入門を決めた古橋さん。「空手は頭を働かせないと身体が動かないんです。それが面白かったです。先生よりも早い突きや蹴りを出したいと思って、家でも稽古をしました。なによりも空手が好きだったから続けてきたのでしょうね」。自主的に朝練をしたり、一人で公園の立木を蹴ったり、人よりも多く稽古すれば強くなれると思い稽古をしたそうである。

【全国大会優勝】

その後、中学高校と空手から遠ざかった時もあったが、やはり空手を続けようと剛柔流に戻ってきた。21才の時に、全国大会自由組手の部に初出場する。空手の型の動きをどう組手でいかせるかが、自由組手の本質である。空手の技術のみにとどまらず、その人の人格を含めた総合能力が評価される自由組手は、参加者全員が道場に戻れば指導員として活躍している人ばかり。世界チャンピオンになった山口昌寿さんも名前を連ねていた。「相手は、自分よりもはるか上の指導員ばかり、殺伐とした雰囲気がありました。結果を残したいと思い、その時は、強さや勝つことしか考えていませんでした」と古橋さん。
それから10年、惜しくも準優勝、3位という年が続き、2010年初優勝を果たす。「優勝して初めて、今まで優勝できなかった理由がわかりました。今回は勝ちたいという気持ちよりも、組手の強さが尊敬に値するような、良い試合をしたいと思って臨みました。相手のヤクミナールさんも、節度があり品格あふれる試合を望んでいるのが分かったので、お互いに心の触れ合う良い組手が出来たと思っています」。戦った相手は敵ではなく仲間、自然と握手を求められ、またやりましょうと言葉を交わし合ったという。
「山口剛史先生をはじめ、たくさんの方に支えられて、ここまで来ることが出来ました。一番そばで支えてくれた横尾晃司先生にも大変感謝しています」と古橋さん。

【空手道とは?】

古橋さんが学んでいる剛柔流は空手の流派のひとつで、己を守り、家族を守り、社会を守るための道だという。修業という意味では、身体を鍛えて強くなるということだけではなく、自分を守るために剛柔流の精神がある。古橋さんは生涯続けられる武道として、人間性を高め、自分自身の人格を含めた技量を高めるための練習が必要だと語る。
もちろん、空手道は格闘技である。
「剛柔流空手道をやってきて思うことは、他人と格闘することだけが、格闘技ではないのではないか。本来の格闘技とは、自分自身との格闘であるべきではないかということです。他人と見比べることがあったとしても、他人より強くなることが全てではありません。組手をする時には、その人より少し強ければいいんです。強さとは優しさですし、優しさは自分自身の余裕でなければいけない。余裕を持つためには当然強くなければいけない。つまり空手道とは、どれだけ自分と向き合えるかだと思います」。

【指導員として】

678person2.jpg 稽古は、毎週火曜日と日曜日、木曜日は隔週に藤代武道場で行われている。館長である横尾晃司さん、古橋さんを中心に、子供から大人までそれぞれの技量に合わせた稽古をしている。ブームとしての格闘技もあるが、剛柔流空手とは本来護身術であり、稽古を通して人間性を高めていくことを目的としている。「突き、蹴り、受けといった基本稽古を大切にしています。相手がいない基本稽古は、自分と戦っていくこと。簡単そうで難しいことですが、自分が成長していくにはとても大事なことです」。
子供は大きな想像力を持っている。想像力を働かせて欲しいと古橋さん。「今はゲームやインターネットなど、考える機会は増えましたが、頭で考えても身体は動きません。空手は相手の動きを想定してどう動いたらいいか考えることで、身体が動き、精神も強くなる。空手道を通して、相手に対する礼儀を考え、気持ちを込めて相手に向き合うことを伝えたいと思っています」。
また、日本人が失いつつある礼式や立ち振る舞いを学ぶ場所でもある。「最初は正座やお辞儀など礼式から始まります。出来れば親御さんも参加して、子供と同じことを一緒にやって欲しい。子供と向かい合う時間を作ってみてはどうでしょうか。家に帰って復習してみてもいいし、共通の話題が出来る事で、親子のコミュニケーションにもなります」と古橋さん。
剛柔流の「剛」と「柔」は、一切の存在・事象は全て「剛」と「柔」からなり、剛は陽、柔は陰となって万物を構成するという意味である。闘争における剛は攻めとなり、柔は守りとしてその安全を計る。剛柔の一体化は闘争を避ける無我の心境へと導かれるという。何かがあった時には、積極的に行動し、何事もなかったように解決するための強さが必要である。
『人に打たれず、人打たず、事なきをもととするなり。』この言葉を空手道の基として精進していきたいと古橋さん。

プロフィール

古橋達也  Tatsuya Furuhashi

1975年    東京に生まれる。
1982年    茨城県取手市(旧藤代町)に転居。
1982年    剛柔流空手道誠空会に入門。
1997年6月    弐段合格。
1997年8月    全日本空手道剛柔会全国大会自由組手の部(以降略:全国大会) 第3位
1999年6月    三段・指導員合格。2000年、2002年〜2004年全国大会第3位。
2006年    全国大会準優勝。
2006年10月    誠空会を改め史栄館として会名式を行なう。副館長に就任。
2006年12月    四段・助教合格。
2007年〜2009年    全国大会第3位。
2010年    「全日本空手道剛柔会創立60周年記念、山口剛史会長就任20周年記念全国大会」優勝。
■全日本空手道剛柔会史栄館
館 長 横尾晃司
練習日 日曜日毎週9時〜12時、火曜日毎週18時〜21時、木曜日隔週18時〜21時
稽古場 藤代武道場 取手市藤代430−5
問合せ ☎090-1708-7733
見学は随時受け付けておりますので、稽古時間に合わせておいで下さい。
■Homepage
http://sieikan.fan-site.net/

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