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茨城王(イバラキング)主宰 青木 智也さん

投稿日: 2010年11月6日

茨城王(イバラキング)主宰 青木 智也さん

人間が持っているリズムに、茨城の暮らしは近いと思う

人間が持っているリズムに、茨城の暮らしは近いと思う

田舎はダサい、東京はカッコいいと思っていた10代の頃。
大学入学で念願の都会暮らしを始め、横浜の会社に就職する。
6年半の都会暮らしを経験して「茨城も思ったより悪くない」と、茨城の良さを再発見したという青木智也さん。
2004年に出版された 『いばらぎじゃなくていばらき』が県内でベストセラーとなり、現在も「茨城」をテーマに講演会などで活躍中である。

【田舎の暮らし・都会の暮らし】

青木智也さ んが生まれたのは、常総市(旧石下町)の農家が多い田園地帯で、ちょっと悪いことをしてもすぐにご近所に広まるという「ご近所ネットワーク」の強いところ だったそうである。子供の頃は田んぼでサッカーをしたり、秘密基地を作ったり、自然が友達だった。「サバイバルゲームのような遊びとか、田んぼや川で生き 物を捕まえたりしましたね。夏の庭ではホタルが飛んでいるような生活でした」。
都会とはまったく縁のない子供時代を過ごした青木さんだが、思春 期になると都会へのあこがれが強くなり、首都圏永住も考えて大学生、社会人としていわゆる都会暮らしをする。しかし実際に暮らしてみると、生活のリズムが 急なことや、会社中心の生活が自分の生き方に合うのか疑問を持つようになった。
全てにおいて茨城より勝ると思っていた都会が必ずしも人に優しい環境でないことを実感したという。もっと自分の人生を生きるための仕事がしたいと会社勤めを辞め、横浜から茨城にUターン、フリーランスでの働き方を模索する。

【知れば知るほど茨城が好き】

「自 分が出来る仕事は何なのか?最初は肉体労働や、塾講師、派遣社員まで様々な仕事をしました。そして、自分をアピールするためにもホームページが必要だと感 じました。茨城を離れていた頃、茨城弁を使うとうけたんです。茨城弁って面白いのか?と、改めて検索してみると、茨城弁に関する情報はあまりありませんで した」。
「誰もやっていないなら自分でやってみよう」そう思った青木さんは、自分の得意な茨城弁のことを書いて、茨城一番のサイトを目指そうと 「茨城」に関するホームページを開設した。お役所目線ではなく、市民の立場から「茨城」を見直すきっかけになるのではと思ったという。茨城弁の話を書き込 むと、それを読んだ人から様々な反応があった。茨城弁も県内の場所によって違っており「うちのほうは違った言い方をする」と、読んだ人から「茨城弁」の輪 が広がっていく。
「茨城弁は、都会ではうけたけれど、茨城でもみんな関心があることを知り、予想以上の反応にびっくりしましたね(笑)」。
2002年10月、ホームページを「茨城王(イバラキング)」としてリニューアル。順調にアクセスを伸ばす中、読売新聞をはじめ日刊紙の取材を受け、さらに人気の高いホームページになっていく。
青木さんは「ホームページを開設して、一番に感じたことは、みんな茨城が好きなんだなということでした。そして、調べてみるとまだまだ知らないことがたく さんあり、私が見ていたのは、茨城の一部でしかなかったということに気付きました」。特に県央・県北や鹿行など、自分の住む茨城とはまた違っていて、その バリエーションの多彩さに驚いたという。

【夢は語ったほうがいい】

しかし、人気のサイトも趣味の領域でしかない。
茨城のことをライフワークにできたら、そう考えた青木さんはブログに「このホームページに書いてあることが、もっと多くの皆さんに読んでもらえるよう、出版を考えています」と「夢」を語ったのである。
「本を出したい」。その夢が茨城新聞社の目に留まり『いばらぎじゃなくていばらき』の発刊となる。「夢は語ったほうがよい。その時の私の気持ちです」。自分の夢を声に出して言ってみること。それは、夢を叶える第一歩になるかもしれない。
出版後、今まで以上に読者からの反響があり「今までやってきたことが、社会に認められたと思いました」と青木さん。今まで茨城に住んでいて、面白いとか良 かったとか茨城のプラスの価値を考えたことがなかったけれど、この本を読んで茨城の良さを再発見しましたという読者からの言葉が嬉しかったという。
その後は地元常総市のふるさと大使に選ばれ、茨城県まちづくりアドバイザー、いばらきイメージアップ大賞実行委員など、茨城を良くする活動に参加する。

【まちおこし、言うより実行】

茨城弁や茨城の県民性、まちづくりに関しての講演会も開催している。一番喜ばれるのは、やはり「茨城弁の話」だそうである。標準語との比較をしたり、県内 の地域によって微妙に変わっていく言葉など、茨城弁の話は年令を問わず笑いがおきる。「町おこしに関して、意見を言う人はいっぱいいるけど、実行する人は 少ないと感じます。自分はやる人がいないなら自分でやるのが手っ取り早いと考えるタイプ」と、茨城弁Tシャツやステッカーを作って茨城をピーアールしてい る。国道6号線のことを「ろっこく」と言うのにちなんだ「ろっこくステッカー」や、「子供が乗ってます」も茨城弁にして「がぎめが乗かってます」ステッ カーになる。どれも茨城を知る人には、くすっと笑える商品である。
「茨城を元気にしたい。茨城を良くしたい。決して大きなことは出来ないけれど、茨城の良さを知ってもらうきっかけを作ることは出来ると思うんです。きっかけがあれば、周りから良い情報がどんどん集まってくる。良い循環が始まったなと思うんです」と青木さんは語る。

【茨城再発見】

茨城県人はどちらかというと、謙遜をするタイプ。関西のように主張しないし、大げさに茨城のことを語ることも少ないが「私の話を聞いてくれた人では、茨城 が好きと言う人が、思ったより多かったですね(笑)。そんなに茨城に関心のある人って少ないんじゃないかと思っていましたが、やっぱり、みんな茨城が好き なんだって実感できて、茨城の全く違う側面が見えてきましたね」。
茨城県は株式会社ブランド総合研究所が行った県別の地域ブランド調査で、 2009年2010年と、2年連続最下位となった。「2年連続最下位をとるというのも逆に言えば、そのとこで目立ちましたよね。例えば茨城空港も便数が少 ないということで目立っている。茨城という名前が知られるにはいい材料と考え、逆手にとってしまえば、それもいいのではと思えてくる。統計では測れない茨 城の良さがたくさんあることを知ってもらいたい。もっと良いところを見ていこうと言いたいですね」。
現在はインターネットの他にも、ラジオつくばに番組を持ち、地元からの情報発信に努めている。今後も「茨城の良さを伝えること」をライフワークとしてやっていきたい、何事も実行あるのみと青木さん。

プロフィール

 青木 智也  Tomoya Aoki

1973年 常総市、(旧石下町)に生まれる。
県立下妻一高卒業後、都会にあこがれて明治学院大学社会学部へ。卒業後、ソフトウェアメーカーに就職し、1年半の横浜勤務ののち、茨城へUターン。
帰郷後は、独自の視点で茨城を見つめ、茨城の良さを再発見。茨城を紹介するWEBサイト「茨城王」を立ち上げる。
2004年 初の著書『いばらぎじゃなくていばらき』を出版、茨城県内でベストセラーとなる。
2006年 『続いばらぎじゃなくていばらき』出版。
現在は執筆、各地での講演会やラジオ出演など「茨城」をテーマに幅広い分野で活躍している。ラジオつくば84.2MHzで土曜日22:00〜23:00、日曜日19:00〜20:00「イバラキングのごじゃっぺラジオZ」放送中。
■Homepage
http://www.ibaraking.com/

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