1994年から続く地域情報紙『シンヴィング』の編集スタッフが作る情報サイト

株式会社BOOMS代表 山崎 徹さん

投稿日: 2010年10月23日

株式会社BOOMS代表 山崎 徹さん

幸せの記憶が残せる家具を。

幸せの記憶が残せる家具を。

全国各地の家具店が見学に訪れるという店が取手市(旧藤代町)にある。
個性派家具専門店「BOOMS」。国道6号線を我孫子方面から牛久に向かって走り、旧藤代町に入る所で、濃紺に白く「BOOMS」と描かれた看板が目の前に飛び込んでくる。その店舗から400メートル先にあるのが2店舗目、今年10月にオープンした「シークレットゲート」だ。
あこがれの家具を手の届く家具に、生活が楽しくなる家具を提案しているという山崎徹さんに話を伺った。

山崎徹さんは、旧藤代町で代々続く家具店の5代目。創業は地場産業でもあった鶏卵を、東京まで売りに行く時に使った背負いの桐箱作りから始まり、近代家具へ。家業を継いだ理由は、家業が家具屋だから、なんとなくやるしかないかと単純なことだった。
家具は地元の家具店から買うという時代から、品揃えの豊富な大型の家具店へと消費者の意識が変わっていき、個人の家具店には厳しい現実があった。継いだ家業も状況が悪化し、8年で店を閉める事に。その時、取引先の問屋に就職の話を持ちかけられ「その時になって初めて、本気で家具屋をやりたいと思った」と山崎さん。

【個性派家具店の誕生】

勤務先の社長から仕事ぶりを認められ「うちには週に4日勤めればいいから、残りの3日で自分の商売をしてみろ」と家具店開業を薦められる。「その時に腹をくくりました。腹をくくると人間て強いですよ」と当時を振り返る。
2003年、個性派アウトレット家具「再生工房BOOMS」として店を改装し開店。1週間のうち4日勤めて3日働く、1日の休みもない日が続いた。勤務後毎夜、夜中まで家具の位置を変えたり店の様々な仕事をこなし、自分の店に出る時の日中には配達が加わる。「毎日、妻と父親が店を支えてくれて、家族全員休みがほとんどなく、これじゃ誰ひとり乳飲み子さえ病気も出来ないという状況でしたね」。
1年後の2004年、自分の店に専念しなさいと勤務先の社長に退職を勧められる。「給料が入らなくなる不安はありましたが、再度、腹をくくりました(笑)」。今後アウトレット商法は他店もやり始めるだろうと、アウトレット家具の看板を早々に外し『個性派家具専門店BOOMS』が誕生する。BOOMSの意味は、一歩半先の流行(BOOM)をいくつも作る店でありたいとの思いからつけられた。

【夢やあこがれを、手の届くものに】

「家具が好きだから」。山崎さんの仕事に対する姿勢を語る時に、一番しっくりくる言葉である。「自分が家具のプロとしてしっかり選んだモノ、自分が愛せるモノを売っているのですから、その気持ちがお客様にも伝わりますし、きっと共感して下さるのでしょうね」。
夢と魔法の世界を現実にしたのがウォルト・ディズニー。アップル社のスティーブ・ジョブズは夢を形にする優れたクリエーターだと山崎さんは言う。ライト兄弟が飛行機を発明した時代から、電話やテレビ、コンピューターなど、人間が思い描いた夢・憧れが現実のものとなっている。
家具も変わっていく。『憧れの家具』が『手の届く家具』に変わるようなクリエイティブな仕事をしたいと山崎さん。「ただ、物で人が幸せになることはないんです。モノを通じてどれだけ記憶に残る幸せな時間を過ごせるかが大切なんです。うちの屋号は『惣』なんですが、家具という「物」に「心」を宿して販売していきたい。だからどのような人の手で生まれたモノかというのも重要なんです。作り手の想いを使い手に素直に伝えたい」。

【売るのも買うのも人の力】

10月2日にオープンした「シークレットゲート」は、一見して家具店だとは分からない店構えになっている。階段を上るとテーマパークのような空間が広がる。ご自分の目で感じて頂きたいので詳細は差し控えるが、「買い物はレジャーだ」という山崎さんの思いを伝えたい。「買い物をした時に、どんな店で買ったとか、どんな店員さんだったとか、どんな気持ちで買ったとかはずっと記憶していますよね。僕は記録に残る店より記憶に残る店をやりたい。例えばディズニーランドのお土産には思い出の記憶はあるけど、いくらで買ったかなんて事はすぐ忘れちゃう。家具って生活の変化に密接なもの、結婚、引越し、出産など人生の節目でのご購入が多い。僕らや作り手の想い以上に、使い手の想いがたっぷり込められる。だからこそしっかり愛されるモノをお譲りしたい。時に長い短いは関係なく瞬間でもいいから愛されるモノ。一生愛せれば一生使えるけど、なかなかそうも行かないもので(笑)。3年、5年でもしっかりお役に立てれば、そのモノのお役目は十分で、モノとも別れ際が大切で、満足して手放せるその時まで楽しい想いが続くように僕らは手に届くまでのプロセスを大切にしています」。

【家具屋として正直に】

いろいろな暮らしの形がある。憧れの暮らしに合う家具がBOOMSで見つかるかもしれない。「家具屋として正直に適切な価格にこだわっていきたい。安いものには必ず理由があります。高すぎるモノには余り理由が無い物が多い。モノの価値に見合った適切な価格が、結果使い手にも生産者にも関わる全ての人が幸せになれる」。
また「お客さんが欲しいと思った物が、その人を幸せにするとは限らないと思うことがあります。例えばたまに来る泊り客のためにソファーベッドが欲しいと来店されても、普段の生活を犠牲にして機能半々なソファーベッドを選択されているようであれば、しっかり座り心地の良いソファーをお勧めします。家具のプロとしてお客様が本当に幸せになれるものを薦めたいですね」と語る。
家具業界をリードする4人の若手の1人として業界紙に取り上げられた山崎さん。「こんな業界の異端な店がひとつくらいあってもいいのではと思っていますが、自己満足でしかないのかも(笑)。でも私の究極の自己満足は人から感謝される事と気付きました」。

プロフィール

 山崎 徹  Toru Yamazaki

1968年    東京都墨田区生まれ
1978年    取手市に転居
1994年    代々続く家具店の5代目として山㟢家具店を引き継ぐ
2003年    個性派家具専門店BOOMSを立ち上げる
2010年    2店舗目シークレットゲート開店
■Homepage
http://booms.jp

最新クチコミ

 

現在クチコミはありません。クチコミお待ちしております。

クチコミをする

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。
コメントと一緒に評価☆☆☆☆☆をお願いします。

CAPTCHA