vol.09:地元米農家 小嶋 吉浩

vol.09:地元米農家 小嶋 吉浩

  • 2022年11月14日 
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日本人の主食「お米」。
毎日食べるものだからこそ、美味しさはもちろん
安心して食べてもらいたい。

地元の生産者ならではの安心感。
お米を消費者に手渡しすることも。

今回はそんな、「顔の見える生産者」を目指しているという
取手市の米農家、小嶋吉浩さんにお話を伺いました。

700年前からこの地に根付いた歴史

茨城県は関東一の米どころ。
緑豊かで、河川もたくさんあり水源にも恵まれ、気候も温暖なので
古くから稲作が盛んな土地です。

取手市に住む小嶋さんは、先祖代々続く米農家。
その歴史はなんと700年前、南北朝時代に遡ります。
当時、足利尊氏の家来だった小嶋さんの祖先が戦乱から生き延び、
この取手の地に辿り着いたのが始まりだそうです。

長く続く米農家の長男に生まれた小嶋さんは、
幼いころから家を継ぐことが当たり前と思っていたそうで
中学生の頃から、田植え・稲刈りシーズンは
両親の手伝いをしていたそう。

その後、兼業農家として測量会社の経営をしながら
米作りを続けてきましたが、先代が高齢になり
体のことを考え引退することとなった
7~8年前から農業の方も本格的に継がれました。

 

小嶋さんが作るお米の特徴は

品種は「コシヒカリ」。
食味がよく、人気も高いお米の王様と言われています。
粘り気があり、モチモチとしていて甘みがあるのが特徴。
ふっくらとしながらもコシがあるので
噛めば噛むほど、お米の旨みと甘みを感じられます。

小嶋さんが作るお米は、なるべく農薬を使わない
「減農薬栽培」を取り入れています。

米づくりに対する想い

―小嶋さんがお米づくりでいちばん大事にしていることは何ですか?

自分の祖母が行商をやっていて、大きなカゴを背負って
都内までお米や野菜などを売りに行っていたんです。
高齢になって、行商を辞めたあとも
ずっと祖母からお米や野菜を買ってくれていたお客様から
「売りに来て欲しい」と頼まれた父が
トラックで届けに行っていたという話を聞いていました。

安く新鮮なお米や野菜を、信頼できる生産者から直接買いたいという
お客様からの要望だったのですが
自分が生産者の立場になって、これこそが理想だと思いました。

消費者に信頼され、安心して食べてもらえる。
そのために、「顔の見える農業」を目指してしています。

今でも、自分のお米を食べてくださる方には
出来るだけ手渡しでお米を届けるようにしています。

―農業は大変なイメージがありますが、今まで苦労したことは
どんなことでしょうか?

天候や育ち具合に左右されるため、はっきりとしたスケジュールが
立てられない部分は大変だと思います。
雨の日には出来ない作業もありますし、
こちらの都合で成長をコントロールすることが出来ないので、
苗が伸びてくれば土日祝なども関係なく作業をしなければいけません。

ただこの部分に関しては、裏を返せば時間が規則的ではないため
自分のスケジュール次第で、好きな時に作業が出来るのでいいこともあります。

また、「苗づくり」の工程がいちばん難しく、苦労しますね。
ビニールハウスで苗を育てるのですが、
水の管理、風通し、温度や湿度など
その日の天候によって細かく管理します。

この管理がうまく出来ないと、
葉が黄色く変色したり、枯れてしまったりするんです。
苗がなければその年のお米が作れないので
苗づくりの3週間は、毎日しっかり管理が必要です。
その日に合わせて変えていくため、
今まで培ってきた知識と経験が必要なので
誰でも簡単に出来るわけではないんですよ。

あとは、コンバインなどの農業用機械の普及で
昔に比べれば肉体的負担は軽減されてきているとは思いますが、
やはり収穫後に30kgの米俵を重ねたりする作業は大変だなと感じますね。

 

―では、農業のやりがいは何ですか?

700年続く農家の血筋なので、「自分がやらなければ」という
使命感のようなものはありました。

消費者の方からの「美味しい」という声はもちろんやりがいですが、
他には、自然の中で仕事をすることは本当に気持ちがいいです。

稲刈りの時期になると、スズメやシラサギなどが集まってきて
稲の中に隠れていた昆虫やカエルを食べにくるんです。
コンバインで収穫をしながら、逃げた昆虫を鳥が食べる様子を見て
面白いな~と感じます。

また、稲刈りの時期特有のワラの匂いがとても好きですね。
そういった楽しみも、自然の中で仕事をしているからこそだと思います。

高齢化が進む農業業界

農業やお米作りに興味がある若い世代へ伝えたい事

自分の周りでは、農業に携わっている人のほとんどが70~80代です。
65~70歳くらいが主役のような感じですね。
子どもたちはいても、時々手伝ってくれるだけで
本格的に継ぐ人がいないという問題もよく耳にします。

やはり、自分たちで食べるものは自分たちの暮らす土地で
作って食べることが、安く新鮮で安心だと思うので
これからもっと農業をやりたい人が増えてくれると嬉しいです。

もし、農業に興味がある方がいるなら
まずは1日でもいいから「体験」してほしいと思います。

今は機械の普及で、昔に比べると
世間がイメージしているよりも、辛く大変な仕事では
なくなってきていると思います。

今後はドローンなどで農薬や肥料散布を出来るようになったりと
新しい技術によって、農業も効率化していく時代です。

実は近年のコロナ禍で、農業を副業でやってみたいという方が
急激に増えたんですよ。

理由は、新型コロナウイルスの影響で収入が減少したり
リモートワークなどが広がり、働く場所にこだわらず
仕事が出来るようになったことが背景にあると思います。

自分を始め、農家のほとんどが「兼業農家」です。

会社の規制にとらわれず、自然の中で自由に働ける農業は
1度経験すると人生観が変わると思います。
まずは体験してみてください。

今後の農業のありかた

―これからの農業業界の将来像、理想はありますか?

農業組合法人の組織化がもっと進めば
機械や場所をシェアできるようになったり、
農作業に関わるほとんどの業務を委託できるようになります。
組織化されることによって、福利厚生の充実など
労働環境の改善も見込めるので
若い人たちも、もっと気軽に出来るようになるかもしれません。

また、若い人たちがそういった農業の組織を作れば
田んぼを預けたいという農家はたくさんいるので
地域の活性化に繋がっていくと思います。

また、若い人ならではの発想で
お米を新しい製品にするなど、アイディアがあれば
米粉の時のように新しいブームが生まれるかもしれません。
そういう動きが農業の中で活性化してくると
農業の未来は明るいと期待しています。

「地産地消」で、茨城の安心安全なお米を食べて欲しいと願う小嶋さん。
お米の美味しい食べ方をお聞きしたら
・玄米で保管し、精米したあとにすぐ食べる
・低温貯蔵がいいので、お米は冷蔵庫で保管する。
とワンポイントアドバイスを頂けました!

ちなみに、小嶋さんのイチオシご飯のお供は
イカの塩辛だそうです。

濃いめの味付けは、コシヒカリのもっちり甘いご飯にぴったりで、
何杯でもいけちゃいそうですね!

皆さんもぜひ「地産地消」を意識して、地元の美味しくて新鮮なお米を
食べてみてはいかがでしょうか。

 

坂東開発測量株式会社

〒302-0001 茨城県取手市小文間4397−1

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むぎ

食べ飲み歩きが好きな2児の母。 もともとは昼寝が趣味のスーパーインドア派だったが、子どもが生まれたのを機に外へ出るようになり、今では野外イベントや体を動かすのが大好きなアウトドア派に。 夢は沖縄でマリンスポーツをすること。 好きなことはイラストを描くことと長風呂。 各種SNSも投稿していますので、是非チェックしてみてください!

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