vol.05:「社会福祉法人みらいのこ」理事長・園長 栗田玲子

vol.05:「社会福祉法人みらいのこ」理事長・園長 栗田玲子

  • 2022年6月15日 
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子育て

一人で悩まずに、一緒に子育てを楽しもう!

家庭的な雰囲気の中で、「一人ひとりを大切にする保育」を実践している「みらいのこ」。

理事長・園長の栗田玲子さんは、幼い頃からの夢を実現させて保育士になりました。

保育園や託児施設などで働いた後、平成16年につくばみらい市に認可外保育施設「ちびっこハウスエンジェル」を開園。平成27年に小規模保育施設として認可を取得し、平成30年に現在の「エンジェル保育園」に名称変更しました。

その後、平成31年にみらい平駅前に一時預かり保育室「エンジェルキッズ」、令和3年につくば市に認可保育園「流星台エンジェル保育園」を開園し、多くの子どもたちの成長を見守ってきました。

自身も2歳~21歳の5人のお母さんという栗田さん。その豊富な子育て経験と、保育のプロとしての知識と経験が、子育て中の親たちの心強い支えになっています。

そんな栗田さんにお話を伺いました。

 

―「みらいのこ」の特色を教えてください。

家庭的な雰囲気を大切にし、一人ひとりの子どもたちと丁寧に向き合って、子どもたちにとって「もう一つのおうち」になれるように、きめ細やかな保育を心がけています。

そして「個」を大切にし、子どものもつ力を信じて日々の保育にあたっています。

日常生活においては、園全体としての雰囲気を大切にしています。

子どもと接するとき、保育者は表情や声の柔らかさに気を付けたり、子どもと同じ目の高さで話したり、指示や命令口調にならないよう気を付けています。

また保護者との会話や、保護者同士の会話にも気を配り、園全体が温かで思いやりにあふれた雰囲気に包まれるよう心がけています。

 

―ご自身が「働くお母さん」でもあり、「ベテランお母さん」ですね。

たまたまですが、「エンジェル保育園」を開園したときも、「流星台エンジェル保育園」を開園したときも、自分の出産時期と重なっていました。同じ子どもを預ける親として、保護者の方に共感できることは多いと思います。

また一番上の子は20歳を過ぎているので、ときにはアドバイス的なお話もさせてもらっています。

とはいえ20年前の子育てと今の子育ては違っているので、自分も保護者の方から学ぶこともあります。

同じ気持ちになって「そうだよね」と共感しあいながら、一緒に子育てを楽しんでいけたらいいなと思いながらやっています。

 

―長年保育に関わってきて、これからを生きる子どもたちには何が必要だと感じていますか。

最も大切なのは生きる力の基礎を養うことです。子どもは生活と遊びの中で生き生きと活動することによって学びが生まれ、生きる力を高めていきます。

子どもが諸感覚を使って周りの物事にかかわり、感受するときにほとんど意識されないで接触する働きが感性です。感性とは対象に密着し、感覚を通して育つものです。

感性が感じたものを取り出し、見直すことで興味が生まれ、考えるという営みが出現します。

「不思議だ、なんだろう?」と思うのが好奇心、そこで出てきた新たな動きをみて「どうしてだろう?」と思うのが思考力、そこから「きっとこうなるだろう」と思ってまた試すのが学びです。

つまり学びとは、生活と遊びにおいて繰り返し関わりながら得られる、安定した経験のつながりを指します。

 

―特にどのような活動から子どもは学ぶのでしょうか。

乳幼児期の日々の生活の中で、子どもが熱中して取り組むことがあれば、そこに感性が働き、意欲がわき、思考が働き始め、結果として学びとなっていきます。それが積み重なり生きる力の基礎となっていきます。

社会的には便利になってきている世の中ですが、それにより子どもの思考力が育たなくなってきているといわれているので、さまざまな体験をさせて感性を大いに刺激してあげる働きかけが大切です。

 

―親は子どもに接するとき、どのようなことを心がければよいでしょう。

他の子と比べずに、その子の個性を大切にしてほしいと思います。個性を尊重し、ネガティブな点であってもありのままに一旦受け止め、大人の考えを押し付けるのではなく、子どもの主体性を重んじて信じて待つことです。

子どもが自分から取り組むようになるまで待てるようになれば、いい形で子どもの成長を目にすることができると思います。

もう一つは、何かあったときに心配してあげる、一緒に喜んであげる、時には「産まれてきてくれてありがとう」という気持ちを伝えることです。子どもは敏感にいろいろなことを感じ取るので、思いやりや子どもを大切に思う気持ちが伝わる家庭の雰囲気や環境を大切にしてほしいと思います。

 

―良い環境で子どもを育てるために、保育園はどのようなサポートが必要だと考えますか。

保護者の方の悩みや相談を親身になって聞くことはもちろんですが、保護者の方が子どもと離れる時間をつくってあげることも必要なサポートだと思います。「育児疲れ」という言葉があるように、育児に行き詰まり、このままでは虐待しかねないので預かってほしいという声も多数いただいています。

親と子が一緒に過ごす時間は大切ですが、それが虐待につながってしまっては元も子もありません。親にもリフレッシュする時間は必要です。

そこで一時預かり保育室「エンジェルキッズ」を開園し、たくさんの方に利用していただいています。こちらでは、待機児童や急な用事、リフレッシュなど、理由を問わず一時預かりを行っています。

リフレッシュすることで気持ちがリセットされ、また子どもをいとおしく思えるようになると感じているので、疲れたなと感じたら1時間でも2時間でも利用していただければと思います。

 

―初めての子育ては不安もいっぱいです。どのような子どものSOSサインに気づけばよいでしょうか。

睡眠・食欲・体調・行動などに出ることが多いので、少しでも普段と違うと感じたら、叱ったり、無理にやらせたりせずに、子どもの心に寄り添い、じっくりと子どもの話に耳を傾けてあげてほしいですね。

大したことないかな、ちょっと機嫌がわるいだけ、と見過ごしてしまいがちですが、自分の苦痛や不安をうまく言葉にして伝えられない小さい子どもにとって「SOSサイン」は大人が気づいてあげなければならない大事なメッセージです。たくさん抱きしめたり、親子で過ごす時間を増やしたりして安心させてあげてください。

 

―子育ては思い通りにいかないことばかりで、つい周りの子と比べてしまいます。

子育てに大切なのは「結果」よりも「意欲」を育てることです。

結果には、「3歳までにトイレができなければ」とか、「こうしなくちゃいけない」がありますが、子どもは無理にやらせて伸びるものではなく、自分からこうしようと思わなければ先に進めないものです。子育てにおいて「こうでなければいけない」というのは全くないので、常にその子なりの成長過程を楽しみながら、子育てをしてほしいと思います。

今は情報も多く、育児書やインターネットで調べて、その通りにしなければと頑張りすぎて疲れてしまうので、「この子はこの子」「まっ、いいか」と思えるようになると、気持ちの負担が軽くなるかなと思います。

 

―気持ちの余裕が大切なんですね。

自分も上の子たちのときはいっぱいいっぱいで、怒ってしまうことも多かったのですが、10年ぶりに子育てをしていて、育児の考え方も変わってきているのを実感します。今は「怒らない保育」が主流で、怒る=虐待みたいな考えが根付いてきています。

子どもは怒ると、怒られたくないから隠すようになるし、怒らなければ教えてくれるようになるんです。「ママ、こぼしちゃった」「パパ、破いちゃった」と教えてくれた時に「大丈夫だよ、教えてくれてありがとう」と対応してあげることが大事です。認めてあげて褒めてあげて、子どものやる気や良いところを伸ばしてあげるとよいのかなと思います。

 

―今後、どのような園を目指していきますか。

働いている親が増え、子育ては親の役割から保育園の役割へと変化してきていて、子どもの成長には保育園での経験がとても重要になってきていると感じています。

今必要とされている保育園の在り方はもちろん、今後必要とされるであろう保育園の在り方を見据え、常に学び、その時に合った保育を提供できる子どものための園にしていきたいと考えています。

常に子どもファーストで何ができるかを考え、これからの未来を支えていく子どもたちと、その保護者をしっかりサポートしていくことが私たちの使命だと感じています。

 

―最後に、子育てを頑張っている保護者の方にメッセージをお願いします。

「子育ては楽しんだもん勝ち!」です。

「しなきゃいけない」と思うと楽しくない。「なんでできないの」って思うよりも、一つ一つできたことを認めて、「今日はこれができてすごい」とか、子どものできたことを褒めていくと、子どももどんどんいろんなことをやってくれるし、「やりたい」と思う気持ちも出てきます。

だから余裕がなくなって笑顔でいられなくなったときには、いつでも利用して、相談してもらって、一緒に子育てを楽しんできましょう!

 

―いろいろと貴重なお話、ありがとうございました。

 

保護者の思いに共感し、保育のプロとして的確なアドバイスをしてくれる栗田さん。

保護者や子どもたちに寄り添いたいという思いが溢れていました。

ここまで頑張ってこられたのも、一緒に働いてくれるスタッフの皆さんはもちろん、この園を選んでくれた保護者の方々、その他関わってくださった方々のおかげなので、みんなに「ありがとう」の気持ちでいっぱいと話してくれました。

そんな栗田さんの優しい人柄が、温かな園の雰囲気を作っているのかもしれません。

共働きが当たり前になっている今、保育園の需要は高まり、その役割はますます重要になってくることでしょう。

子育てで行き詰ったとき、1人で悩まずに、「みらいのこ」のような保育施設をどんどん利用して、だれもが楽しく子育てができるようになるといいなと思いました。

 

【エンジェル保育園】(つくばみらい市認可小規模保育施設)

住所:つくばみらい市小絹185-3 MAP

電話:0297-52-8225

【エンジェルキッズ】(認可外保育施設)

住所:つくばみらい市陽光台1-7-4 PRINCESS KOWA101 MAP

電話:090-4593-3105

【流星台エンジェル保育園】(つくば市認可保育施設)

住所:つくば市流星台6-7 MAP

電話:029-875-9511

HP:https://mirainoko.jp/

 

 

 

 

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シンヴィング編集部

1994年創刊の地域情報紙シンヴィング。 もっと『守谷』『取手』『つくばみらい』を合言葉に茨城県南地域の情報をお届けします。

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