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投稿日: 2015年3月4日

取手市体育協会柔道部 藤代道場部長 内桶 均さん

相手を思いやる柔道で「柔道が好き」の気持ちを育てる

相手を思いやる柔道で「柔道が好き」の気持ちを育てる

子どもたちの元気なかけ声が響く道場で柔和な表情で子どもたちを見守る内桶均さん。
「相手を思いやる柔道」にこだわり、試合で勝つことよりも内容を大事にする指導を心がけてきた内桶さんに柔道を通した子供たちへの思いを伺った。

礼儀に厳しい父のすすめで武道を志す

60年の歴史があり、幼児から中学生まで40人余りが通う藤代道場で、内桶均さんは3年前から部長を務める。内桶さん自身、小学生のときから道場に通い、小・中学校時代は柔道に打ち込んだ。高校時代はラグビー部に入り柔道から離れていたが、社会人になってから再び柔道を始め、今は指導員として子どもたちの指導にあたっている。
幼少期を福岡で過ごした内桶さんは、礼儀に厳しい父親のすすめで少林寺拳法を始める。小学2年生のときに取手市に引っ越し、近くにあった藤代道場に足を運び柔道と出合う。当時は厳格な指導者が多く、稽古内容も厳しかった。「稽古中少しでも辛い顔をすると、より厳しく指導される。当時の先生は本当に怖かったです」と内桶さんは語るが、「親以外の大人に怒られることはあまりないので、今思えばいい経験でした。道場以外の場所でも怒られるので、外でも悪いことはできないと思ったものです」と当時を懐かしむ。今では指導者同士、お酒を酌み交わしながらの親交が続いていて、柔道を通した人とのつながりに感謝しているという。

767person2「礼に始まり礼に終わる」柔道の奥深さ

「礼に始まり礼に終わる」と言われる柔道。それは試合の始めと終わりに礼をするという意味ではない。高校から始めたラグビーは卒業後もクラブチームで続け全国大会まで進んだことも。ラグビーから再び柔道をやろうと思ったのは、柔道家の茂木先生に出会い、柔道の奥深さに触れたからだった。「自分は小学生・中学生の時期しか柔道をやっていなかったので、実は柔道のことを何も知らなかった。茂木先生から、柔道の話を伺って、自分が知っている柔道は、上っ面の理解だけだったと感じました」。
茂木先生から柔道に対する考え方や歴史を学んで、柔道でもっとも大事なことは、相手を敬う心だと知る。武士の作法を起源とし、柔術から派生した柔道は、相手を傷つけることもあり得る格闘技だからこそ、礼儀正しくすることが求められる。立礼や座礼には作法と意味があり、試合の時の礼法にも相手に敬意を表す意味が込められていることを知り、改めて柔道の真の魅力に触れ、もう一度柔道をやる気になったそうだ。
「柔道着がなぜ白いのか知っていますか?相手に対してまっ白な気持ちで向かい合えという意味があるんです」。

強い柔道より相手を敬う柔道を

そんな内桶さんが子供たちを指導するときに心がけていることは、柔道を好きという気持ちを育てること。柔道はスポーツである以前に礼儀を重んじる武道であることを忘れずに、相手を敬う気持ちを大切にし、相手に対して思いやりのある柔道を指導している。試合の相手は〝敵〟ではなく、柔道をする〝仲間〟。勝負にこだわるあまり危険な技を仕掛けるより、自分も相手もケガをしないで楽しく対戦することが大事。試合では「元気よく、普段の力が発揮できるようにがんばろう!」と声をかけ、例え負けても良かったところを見つけて褒めてあげる。それが子供たちのやる気を引き出し、教えていないことも自分で考えて、すばらしい試合をする子がいる。「勝てば子供たちの頑張り、負ければ指導の仕方が悪い」と、負けた子を責めるようなことは一切言わない。普段の練習でも、常に良いところを見つけては声をかける。
そんな内桶さんも、稽古中に声を出していない子供には厳しい。かけ声は柔道の上手い下手に関係なく、小さい子も大きい子も疲れていても声は出せる。声を出すことで、やる気を起こさせる。子供たちが元気に活気のある稽古ができるよう、とにかく声を出すように常に指導しているという。

柔道を通して子どもたちの成長をサポート

稽古中は4チームに分かれ、それぞれに指導員が付いて指導する。小さい子から大きい子まで異年齢でチームを編成しているため、自然と大きい子は小さい子の面倒をみる縦の関係ができている。お互い下の名前で呼び合い、年齢に関係なく、相手を敬えない行為をした子に対しては叱る。とくに学年が上の子には、柔道を通した人とのつながりの中で、責任感と高学年としての自覚を持ってほしいと考えている。保護者とのコミュニケーションも大事にし、話し合いの場もしばしば設ける。「柔道の帯は洗ってはいけない。昇段してもらった帯が擦り切れるまで練習するのが恩返し」など、柔道を知らない保護者に、柔道の基本を伝えることもある。
「子供たちの成長が何よりの楽しみ。一度柔道を離れても、また戻って稽古を再開したり、道場に顔を出してくれるのが嬉しいですね」と語る内桶さん。教え子の子供が入ってきて親子二代に渡る付き合いが始まることもあるそうだ。
「がんばっている子供たちのために、指導員も保護者もみんなで同じ方向を向いて、楽しい環境づくりに努めていきたい」と語り、みんなをまとめる内桶さんの周りには、休憩時間になると子供たちが自然と集まってくる。また県南大会で上位に入賞するなど、子どもたちの実力も上がっているのも喜びのひとつ。楽しくのびのびと柔道に打ち込む子どもたちのこれからが楽しみだ。

プロフィール

相手を思いやる柔道で「柔道が好き」の気持ちを育てる

 内桶 均  Hitoshi Uchioke

1969年生まれ、取手市在住。
取手市体育協会柔道部藤代道場部長。
22歳から同道場にて指導員として後輩の育成にあたる。
現在は部長として他の指導員たちをまとめたり、保護者とのパイプ役を担い、道場の中心的な役割を果たしている。