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投稿日: 2017年4月27日

シンガーソングライター・常総ふるさと大使
石塚 美咲さん

「夢の続き」を取り戻すため歌や声に乗せて、<br />被災者の声を届ける

「夢の続き」を取り戻すため歌や声に乗せて、
被災者の声を届ける

常総市の水害被害から1年半以上。
近隣での災害とはいえ、
直接的な被害がなかった人にとっては
「過去の出来事」になっている一方、
まだ日常生活に戻ることができずにいる人も大勢いる。
家が水没した石塚さんもその一人。思い出の品や、
音楽を作るための機材など多くを失い、
水害のあった日の3日後に行うはずだった単独ライブは
まだ実現できていない。
日常が途切れてしまったあの日以前の生活を取り戻そうと、
復興支援のためのCD「夢の続き」でエールを送りつつ、
被災者だから分かる情報を発信し続けている。

歌手やMCとしてさまざまな場で活躍

常総市(旧水海道市)で生まれ育った石塚さんは、
小学校高学年の頃、
歌を友達に褒められたのをきっかけに歌手を志すようになった。
進路を考え始めた高校2年のとき、
本格的に音楽をやりたいと心を決め、オーディションを受ける。
そして、通い始めたのが当時土浦市にあった
歌手や俳優の養成所である「つくばアクターズスタジオ」。
様々な可能性を広げられるようにというスクールの方針で、
歌はもちろん、ダンスや芝居、司会など、
さまざまなレッスンなどを受け、
地元企業のイベントやTX開通時のイベントなどで、
ユニットを組んでライブパフォーマンスをしたり、
バックダンサーとして踊ったり、夢に向かって歩み始めた。
21歳で作詞作曲も手がけるようになり、
23歳で初めてアルバムをリリース。
その後、ライブ活動や楽曲制作の傍ら、
ラジオやケーブルテレビなどで
レポーターやナレーター、パーソナリティとしても活躍し、
26歳までに14曲をiTunesなどで配信。
順調に活動の幅を広げていた最中の2015年9月10日、
あの大規模な水害が起こった。

被災者の生の声をマイクを通して伝えたい

この日、石塚さんは自宅でCDのデザインの仕上げをしていた。
避難することを決め、母と妹を連れて家を出たときには
水は家の100m手前まで迫っていたという。
冠水していない道を選びながら無事つくばに避難。
しかし3日後に水の引いた自宅に戻ってみると、
床上110㎝のところまで泥の跡があり、
家財道具はもちろん、小さい頃から使っていたエレクトーンや
音楽機材のほんどが泥にまみれていた。
月日は流れ、街は徐々に元の姿を取り戻しつつある。
しかし石塚さんの自宅はまだリフォーム途中。
水害の3日後に筑西市で行うはずだった単独ライブも
中止になったままだ。
「まずは家の片付けと再建、
義援金や水害の補助を受けるための様々な事務手続きに加え、
整わない環境の中で今まで通りにライブや司会、
撮影の仕事をこなすことに精いっぱいでした。
修繕が完了していない今、自主企画ライブを行える程の
気持ちと体力の余裕がまだ持てないでいます。」と石塚さん。
それでも少しでも前を向こうと、
忙しい時間の合間をぬって自分にできることを考えてきた。
その答えが被災者の声を届けること。
「自分はマイクを使って思いを伝えることができる立場なので、
被災者代表として
みんなの気持ちを代弁するつもりで語りかけています。
また、被災者は遠い存在でも特別でもなく、
こんなに身近な所にいるということを知ってもらい、
誰もがいつ災害に見舞われてもおかしくない状況にあるのだと
防災意識を持つきっかけになってもらえたらと思っています」。

被災者みんなが「夢の続き」を取り戻すために

復興支援CDとして販売している「夢の続き」は
9月13日に予定されていたライブで配る予定だった
リハーサル音源を収録したもの。
その中に収められている「ありがとう」という曲は
水害の前に作った曲だが、

「ふと弱気になる時もあるけれど
立ち止まらずに歩いてこれたのは
後押しする笑顔があったから」
「ゆらゆら 揺れて迷って
あなたに救われたの ありがう」

という歌詞が、被災者となった今の自分の気持ちと重なり、
支援をしてくれた多くの人に届くようにと
イベントやライブでは心をこめて歌う。
「夢の続き」というタイトルには、
「水害によって実現できなかった予定や目標、
そして夢の続きを一日も早く取り戻せますように」、
そんな願いをこめたそうだ。
「多くの人に助けられて常総市はここまで復興しました。
そして、支援や関心が薄れた時に復興の支えになるのは、
市の産業が活発になることだと思いました。
そこで、微力ですが出演する先々で
常総市のPRをしようと決めました。」と語り、
常総市の魅力をPRする「常総ふるさと大使」も務めている。
常総の名産品を広く知ってもらおうと、
2015年10月からCDの売上の半分を地元のお店が集まった
「常総名産会いしこら倶楽部」の水没してしまった
パンフレットの再版費として寄付。
印刷は被災した岩見印刷にお願いした。
パンフレット再販後2016年からは
義援金として市の復興に役立てている。

被災者だから分かることをブログで発信

水害を経験し、
「辛かったからこそ幸せに思うことも増えた」と語る石塚さん。
「一度被災すると幸せの基準が変わります。
水が出るだけでも幸せ、
電気が付くだけでも幸せという感覚になる。
そういう感性を大事にして、
辛いこともプラスに変えられる
エネルギーをもてるようになりました」。
近年、日本では大きな災害が立て続けに起き、
いつ誰が被災者になるかもわからない。
「被災者だからわかること、
被災者ににしかわからないことがあります。
水害に遭いそうになったら、
水害に遭ってしまったら…どう行動するか。
自分の体験を発信し、誰かが見て役立てば」と、
ブログを通して自分が学んだこと広く知らせている。
また支援をする側にも、
素人判断で行うとかえって迷惑になることもあると警告する。
「例えば安否確認の電話。
回線が混雑して救助の電話が繋がらない危険性があるとともに、
被災地は電気が使えないことがほとんど。
電池の消耗を考えると通話は控えたいのが本心です。
支援は押し付けていないか、混乱を招いたりしていないかなど、
被災者や被災地の状況に寄り添って
思いやりのある支援の在り方を再確認して欲しい。
そして、日頃から地域コミュニケーションを意識して、
いざ災害が迫った時に情報交換や助け合いができる関係を
築いておくことが大切」と語る。

石塚さんの「夢の続き」の先にあるのは3枚目のCD制作だ。
元の生活を取り戻すためにやることは山積みだが、
それでもしっかり前を向いて、
自分のため、常総市の未来のために一歩ずつ歩んでいる姿や、
発信されるメッセージは多くの被災者に
勇気と希望を与えているに違いない。
そしていつ被災者になるとも限らない私たちは、
石塚さんのメッセージに耳を傾け、
いざという時に備えておきたい。
多くの人たちの辛い経験を無駄にしないためにも。

プロフィール

「夢の続き」を取り戻すため歌や声に乗せて、<br />被災者の声を届ける

シンガーソングライター・常総ふるさと大使
石塚 美咲さん[Misaki Ishitsuka]

常総市出身のシンガーソングライター。
2009年5月    1stアルバム「Tout de moi」リリース
2011年1月~    ラヂオつくば「石塚美咲と唄種ラヂオ」放送開始
2012年9月    2ndミニアルバム「Crescendo」リリース
2013年    男子バレーボール「つくばユナイテッドSun GAIA」公式応援ソングに「君の手なら」が採用
2015年4月~    日立市ケーブルテレビJWAY「神保シェフと茨城をたべよう」レギュラー出演
現在、茨城県を拠点にライブ活動、楽曲の制作活動を行っている。

石塚美咲の唄種ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/misaki0121/
「石塚美咲 Voice Presenter」Facebookページ
https://www.facebook.com/misaki.ishitsuka.voice.presenter/