日本コミュニケーショントレーナー協会　椎名規夫さん

コミュニケーションの達人とは？

「不倫しています」と相談しにくる人はいない
不倫して罪悪感で苦しんでいても「私、不倫して苦しんでいます」と言って相談に来る人はいません。通常は、本当の問題を隠し「主人と上手くいきません」と言ってカウンセラーに相談に来ます。ところが、不倫して罪悪感に苦しんでいる人は特徴的な座り方で分かります。卓越したカウンセラーは相手の座り方で、「不倫している」ことを察知することができます。このように、コミュニケーションには言葉と言葉以外に対するアプローチがあります。
例えば、お母さんが家庭用のゲームに夢中な子どもに「いいかげんに勉強しなさい！」と声をかければ、いやいや「はぁーい」と返事することがあります。この場合、言葉のメッセージは『はい』。しかし、声のトーンや態度は『ノー』ですね。
不倫している人が特徴的な座り方をすると言いましたが、代表的な言葉以外のメッセージである身体反応は、言葉と違って意図的にウソをつくことができません。私たちはウソをついている人の表情を見て、それを察知できるときがあるでしょう。お気に入りの人が目の前に座れば、無意識に顔の表情が緩んでしまい、周りの人に気づかれることもありますよね。
ですから、不倫して罪悪感に苦しんでいる人は、「私、不倫して苦しいんです」と、カウンセラーには言わないのです。自分の本心をオブラートに包んで、「主人と上手くいってないんです」などと言いながら相談に来るのです。
ですから、本当のことを言葉にしないクライアントが相談に来た場合には、言葉の裏側にあるメッセージとコミュニケーションする必要があるのです。
コミュニケーションの達人とは、言葉と言葉以外のメッセージと上手にコミュニケーションができる人です。
椎名規夫さん著書「自分とまわりを変える魔法のNLP実践トレーニング」より

ＮＬＰという言葉をご存じでしょうか？ＮＬＰとは、分野を越えた卓越性を体系化したスキルです。自分が五感で感じ体験したことを、脳が認知し、その人の言葉や態度に表れる。人の行動パターンには、何が影響しているのか？その仕組みを学び、実践する手法があります。優れたコミュニケーションの方法と言うと分かりやすいかもしれません。アメリカで生まれたＮＬＰを、日本では医者・主婦・大学生など分野を越えた３０００人以上の人が学んでいます。米国NLP協会認定NLPトレーナーとしてＮＬＰを伝えている椎名規夫さん（取手市在住）が『魔法のＮＬＰ実践トレーニング』（明日香出版社）を出版、著書を通して伝えたいことは何か、話を伺いました。

【ＮＬＰを伝えること】

アメリカで生まれたＮＬＰが世界各国で使われるようになり、日本には約30年前に伝わった。今ではＮＬＰに関して書かれた本が60冊以上発刊され、ビジネス・スポーツ・教育など分野を越えた職業の方から読まれている。椎名さんは相手の存在を大切にする言葉かけの出来る数少ないトレーナーの一人。今回出版社から椎名さんに「一冊でＮＬＰの全てが分かる本を書いてほしい」と依頼があり、椎名さんは「今までセミナーなどで、ＮＬＰを伝えてきましたが、セミナーに来られない人もたくさんいらっしゃる。その人にＮＬＰのことを伝えることができたらと思い、引き受けることにしました」と語る。

【子供時代の経験】

ＮＬＰを学ぶことで、椎名さんはどう変わったのか？「どなる回数が減りましたね（笑）」。自営業を営む家庭の長男に生まれ、跡取り息子として育てられてきた椎名さん。小さい頃から仕事の手伝いをしたそうである。「わがままな子供でしたね。好き放題させてもらえて、不自由はしたことがなかったように思います。両親が仕事をしていたので、お金やおもちゃを預けられて育ったような」。
自分は親の言うとおり、仕事を継ごうと思って育った椎名さんだったが30才を過ぎた時に「バブルがはじけたから、お前は後を継がなくていいよ。自分のやりたい仕事を見つけなさいと、親に言われたんです。今まで、跡取りとして生きてきた私が、急に自由になり、かえって戸惑ってしまいました」。親からこれからの人生をやり直せと言われて、悩んだことでうつ病の症状が現れ、３年間通院をした。自分とのコミュニケーションがうまく出来ていなかったと当時を振り返る。

【幸せはお金を儲けることじゃない】

ＮＬＰは、分野を越えてうまくいっている人が何をやってきたかを体系化したもの。例えば、ウォルト・ディズニー、アインシュタイン、ダ・ヴィンチなど偉業を成し遂げてきた人たちの信念や価値観を体系化してきた。仕事に関して言えば「仕事は誰かに貢献した成果」であり、人は「愛する人をもっと幸せにしたくて」生きている。売上げや利益、年収という「お金で成果や幸せ」は計れないと椎名さん。「売上げが基準なら、どんな職業でも、詐欺師だって構わないということになる。家族の幸せが世帯の年収だとしたらどう思いますか？年収が１０００万あっても、家族がぎくしゃくしていたら、おいしい夕食が食べられるでしょうか？」。それがＮＬＰを学んでわかったことである。

【今を生きること】

人は過去の経験から今を作り、未来を想像する。残念に思うのは、過去を引きずってしまったり、まだ始まってもいない未来を先に憂いてしまう人がいること。「子供の帰りが遅いと、推測で何か悪いことが起こっているではと心配してしまう。想像して不安に思うのではなく、わが子も思春期を一生懸命生きているんだと考えてみては」。
今、この瞬間をそのまま感じられたら、チャンスに気づくことが出来る。
本の執筆にあたっては、もっと書きたいことはあったが「何のために生まれてきたのか」「天職を見つける方法」など、伝えたいことを夢中で書きあげたそうである。手に取る機会があれば、ぜひ一読を。

椎名規夫 Norio Shiina

米国NLP協会認定NLPトレーナー。
『経営の父』と呼ばれたピーター・F・ドラッカー氏のマネジメントを徹底的に学び自社と顧問先で実践。
日本国内で中小企業、零細企業が生き残るには、マネジメントを実践することが条件と確信。
さらに、地域のリーダー企業を作るためには、コミュニケーション能力向上の必要性を痛感し、NLPトレーニングを顧問先に伝える。今では、多くの一般参加者がNLPのスキルを学んでいる。
日本一分かりやすいNLPの伝道に努めるトレーナー。
取手市在住。

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