MUSAピアノクラブ主宰 平川 昭子さん
良き出会いがあり、たくさんの笑顔に出会えたことが嬉しい。
ピアノは楽しい。小さな卓上ピアノから始まった音楽の楽しさ。
子供の頃から、ずっと続けているピアノを通じて、人生の節目節目にたくさんの出会いがあった。
子供も大人も、鍵盤を前にした時のドキドキする気持ちや、メロディーを奏でた時の喜びは、みんな同じ。
ピアノを通して、音楽の楽しさを伝えていきたい。
取手市でピアノ教室を主宰している平川昭子さんが、初めて鍵盤に触ったのは幼稚園の頃、父がクリスマスにプレゼントしてくれた小さな「卓上ピアノ」だった。毎日毎日、その卓上ピアノを弾いていたという。小学1年生からピアノを習い始めたが、ピアノを弾くことが楽しくて、レッスンに行きたくないと思ったことは一度もなかったそうである。「ピアノを教えてくれた先生がとても優しかったですね。小学1年生の時の担任渡辺富貴子先生は、朝の歌の時間にオルガンを弾かせてくれました。今思えば先生がみんなの前でピアノを弾く機会を与えてくれたことが、楽しさや喜びにつながっていったのでしょうね」。
【ピアノと一緒に】
高校・短大とピアノを専門に学んだ。中学から高校に進んだ時は、初めて壁にぶつかったという。もっと学べることがあることにも驚いたし、自分の甘さにも気がついた。「自分より上手な人が大勢いたので、高校1年の時は、がむしゃらにピアノを弾きましたね」と平川さん。そして、大学を卒業するころには、演奏家としてではなくピアノの先生になりたいと思うようになった。
卒業後は地元旧藤代町でピアノ教室を始める。自分がピアノを習ってきた経験から、教え方ひとつで子供たちは変わることに気づいた。当時の教え子たちの様子を伺うと「素直ないい子供たちでしたね。先生は厳しかったと、今頃になって言われますが(笑)」
27才の時、ウィーン国立音大のセミナーに参加する。「曲に対しての情景描写が出来なくて、先生から君は日本でどんなレッスンを受けてきたの?と質問され、答えられませんでした」。「技術だけではダメ」「ピアノを弾くことで誰かに感動を与えたことがあるの?」そんな質問にショックを受け、自分のピアノに対して多くの課題があることを感じ帰国の途についた。
【生きる力になるもの】
「ピアノで人に感動を与えたことはあるのか」そんな思いを抱えたまま、結婚、出産をし、また転機が訪れる。当時牛久愛和病院小児科医長をしていた高瀬義昌先生との出会いだ。高瀬先生は平川さんがピアノの講師をしていることを知り「心を病んでいる子供たちに手を差し伸べなければいけない」と声をかける。高瀬先生から本を頂き音楽療法士という職業を知り、独学で勉強をしていた頃、毎月通っていたピアノの先生のための講習会で生涯学習音楽指導員の資格を薦められる。「ピアノが生きる力にならないだろうか」。そんな時に思い出したのが、自宅に遊びに来た祖母の友人がグランドピアノを触ってとても喜んでくれたことだ。1本の指でたどたどしく鍵盤をたたく。音が出ることにとても喜んでくれたおばあちゃんを見て「お年寄りのために何か出来ないだろうか」という思いが強くなってくる。
【熟年のためのピアノ講座始まる】
お年寄りの生きる力になりたい、そんな思いで取手市役所生涯学習課に「熟年のためのピアノ講座」の企画を持ち込んだのが2003年のことである。「この講座はボケ防止などの予防医学になるし、共通の趣味を持つ新しい友人が出来れば、それが生きる力になると思ったんです」と平川さん。対象を60才以上として、1クラス10人のグループレッスンで講座が始まった。「60才以上の方が、純粋にピアノをやりたいと思って集まってくれました。ピアノを弾くのが幼いころからの夢という方もいましたし、戦争の思い出を話してくれた方もいました」。
人前でピアノを弾くなんてと言っていた方がコンサートを心待ちにするようになったり、共通の趣味を持つ友達ができ、互いに刺激しあい、励まし合って、毎日が楽しくなったという。生徒からは「やってよかった」「死ぬまでやるわ(笑)」「お友達が出来たのが一番の宝」「記憶力や視力が戻った」などの声がかかる。頭・耳・目を使っているので、今まで眠っていたものが、また目覚めるような感じだという。
全国的にも珍しい熟年男性だけのクラス「メンズピアノクラブ」も始まった。男性だけの演奏は優しさとロマンがありましたねと平川さん。
【みんなの夢を叶えたい】
「美味しいものがあって、素敵な場所で、素敵な演奏を聴く。これが贅沢な音楽の聴き方だと思うんです」。そんな音楽を聴いてもらいたいと、9月12日にはオペラを聴きながらイタリアワインと食事を楽しむ会を開いた。「これも生徒さんの声から、実現させたもの。みなさんの夢を叶えられたらと思っています」。
子供たちのピアノ教室も続いている。今ではアシスタントをしてくれるまでに成長した生徒もいる。また、月1回障がい者のクラスもあり、様々な年令、性別の生徒がピアノを楽しんでいる。「子供たちには素直な心をいつまでも持ち続けてもらいたいと思い、教えています」。
やりたいと思ったら、出来ないものはない。
いくつになっても、誰でも、やれば出来る。
今後は県外、海外での演奏会など、発表の場を増やしていきたいとのこと。「生徒さんもいい人ばかり。どうしたら喜んでもらえるか、どんな言葉をかけたら分かってもらえるか、いろいろ考えながら、毎日楽しくレッスンしています。これからも、ずっと続けていきたい」と平川さん。
「熟年の為のピアノ講座」今までの受講生は213名、現在110名の会員が練習を続けている。10月3日藤代音楽祭にも参加、「ぜひ見に来て下さい」。
平川 昭子 Akiko Hirakawa
1963年旧藤代町に生まれ
東邦音楽大学付属東邦高等学校、東邦音楽短期大学ピアノ専攻卒業後、前野音楽教室主宰。
1990年 ウィーン国立音楽大学短期セミナー参加。
ピアノを同大学教授パンフォーファー氏師事、ベーゼンドルファー調律講習受講。
2003年 文科省認定 生涯学習音楽指導員C級ライセンス取得 前野音楽教室20周年コンサート開催 旧藤代町生涯学習課事業として「熟年の為のピアノ講座」開講 MUSA PIANO CLUB発足 障害者の為の音楽教室(現マーブル・エンジェルス)開講
2005年 文科省認定 生涯学習音楽指導員B級ライセンス取得 龍ヶ崎市障害福祉サービス「ひまわり園」にて年2回のボランティアコンサート始まる
2008年 MUSA PIANO CLUB5周年記念100人コンサート開催
2009年2月14日MUSA PIANO CLUB紳士達による“ヴァレンタインコンサート”主催
2010年2月筑波エコー学園利用者有志と「チャレンジアートinつくば」に参加
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