陶芸家 陶芸教室遊土主宰 遊佐 恵子さん

陶芸家 陶芸教室遊土主宰 遊佐 恵子さん

  • 2010年6月25日 
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陶芸

土と暮らす – 土と遊ぶ

陶芸家遊佐恵子さんが作る器は、毎日の暮らしが楽しくなるような、
生活のそばにある器である。守谷市にある工房には、
見ているとほっとするような器や、どこかユーモラスな花器や人形モチーフの作品が、あちこちから顔を覗かせている。

守谷市にある陶芸教室「遊土」を主宰する遊佐恵子さん。手入れされた庭が、まるでギャラリーのようになっており、水の流れの中にはメダカが泳いでいる。思わず「庭仕事、大変ですね」と声をかけると「大変じゃないわよ。楽しいのよ」と遊佐さん。そう言って笑った顔が印象的だった。

 

【最初の仕事はアニメーション】

遊佐さんは、1964年に手塚治虫氏の「虫プロダクション」に入社。鉄腕アトムやジャングル大帝などのアニメーションの制作に携わる。その頃のアニメーションはモノクロからカラーへと変わっていった時代。手塚治虫氏とは毎月1日の朝礼で会うくらいだったが、言葉のかけら一つひとつにパワーがあって、元気をもらえたと言う。
「今と比べれば、アニメーションの技術は稚拙でしたが、新しいものを作っていこうというエネルギーに溢れている時代でした。虫プロダクションはやる気があれば、どんどん仕事を与えてくれて、仕事を始めて1年くらいで作品のエンディングに自分の名前が載るようになりました」と遊佐さん。
セル画を描くという自分の仕事が終われば、ちがう部署の手伝いをした。何がどうなっているのか、誰がどんな仕事をしているのか、積極的に知ることで、自分の仕事に役に立つことがたくさんあったそうだ。

 

【陶芸の世界へ】

陶芸を始めたきっかけは、全行程をすべて自分で出来ることは何だろうと考えたことから。アニメの世界も楽しかったけれど、自分が関わっているのはほんの一部にしかならない。作るところから販売まで自分で出来る職業は何か、いろいろな職業を考えて、最終的に残ったのがガラス工芸と陶芸だった。「ガラス工芸は、大きな作品になると一人では出来ないんです。そうすると消去法で陶芸かなと(笑)」。
京都、備前、各地の窯元を見てまわり、益子にたどり着く。益子で研修生として23才から5年修業。カナダ、ドイツなどから修業に来ている方もあり、たくさんの仲間と楽しく刺激的な時間を過ごすことができたと語る。仲間と一緒に、重要無形文化財「民芸陶器」保持者(人間国宝)濱田庄司氏のアトリエを訪ねたこともあったそうである。

 

【家庭と子育て】

その後、結婚して子育てが始まり、家族との暮らしを楽しんできた。「私が子供の頃、庭に『私の庭』があって、その場所には好きなものを植えることが出来たんです」庭いじりが好きだった母親に育てられ、子供の頃から植物が好きだったという遊佐さん。「私も、自分の子供二人には、2才ぐらいからそれぞれに本棚のついた小さなテーブルを与えました。子供たちはそこで絵を描いたり工作をしたりしていました」。自分のスペースを作ってあげること、それは小さなスペースでも子供にとっては大切なお城になるだろう。

 

【生活を楽しむ器】

子育てなどで陶芸は一時中断していたが、やはり陶芸がやりたいと、柏市の公民館で陶芸講座の講師を務める。自分で作品を作ることも楽しいが、教室で作り方を教えることのほうが、自分に向いていると思ったそうである。
2001年には柏市から守谷市に工房を移転。守谷市で陶芸教室を始める。「教室で陶芸を学ぶ生徒さんは、あー楽しかった。来週が楽しみと帰られます。作品を作ることは生活を楽しむひとつの手段、時にはおしゃべりに花が咲いたり、仲間に元気をもらったり、そんなふれあいが楽しいのではないでしょうか」。遊佐さんの作る作品は生活が楽しくなる、毎日の暮らしが豊かになるものがコンセプト。「陶芸と言うと、芸術性の高いものを目指す方が多いのですが、私が作りたかったのは、もっと身近で、暮らしの一部になるような器だったんです。『美味しい料理』よりも『旨い!料理』を乗せたくなる器を作りたい、って分かるかしら(笑)」と語る。

 

【土から生まれてくるもの】

「陶芸の土」と「庭の土」どちらも大好きで毎日「土」と遊んでいると遊佐さん。「種子って命のカプセルだと思うんです。命の源がぎゅっと詰まっている。それが、土の中で育つでしょ。土の中から、命がうまれるんです」。
命を育てる「土」、遊佐さんの作品には、そんな土が持つエネルギーや、生きているということの力が感じられる。
今後は「肩の力を抜きながら、もっともっと遊んで、もっともっと仕事をする(笑)」と遊佐さん。好奇心を持つこと、興味を持ったことを大切にして、まずははじめてみることが第一歩。好奇心を持つことに年齢は関係ない。「生活を楽しむことって、好奇心を持ち続けることでしょうね」と遊佐さん。

 

 遊佐 恵子  Keiko Yusa

1964年 虫プロダクション入社、「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」などのアニメーション制作に携わる
1968年 益子で陶芸の修業
1992年 中断していた陶芸を再開
2001年 NHK「おしゃれ工房」に出演。守谷で陶芸教室を始める。『陶芸を楽しむ』を雄鶏社より出版
2003年 『遊佐恵子さんのかんたん陶芸和風の器』主婦と生活社より出版
守谷市松ヶ丘3-10-20
☎0297-20-6909
E-mail : yusa.keiko@nifty.com

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シンヴィング編集部

1994年創刊の地域情報紙シンヴィング。 もっと『守谷』『取手』『つくばみらい』を合言葉に茨城県南地域の情報をお届けします。

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