取手市・守谷市・つくばみらい市の
地域情報サイト

1994年から続く地域情報誌『シンヴィング』の編集スタッフが作る地域情報サイトです。

広告をお考えの方はこちら

Web版 シンヴィング

エリア キーワード

投稿日: 2018年1月26日

ライブペインティングパフォーマー・絵描き
近藤 康平[Kohei Kondou]

音は「絵」になり、「絵」が音楽を奏でる

音は「絵」になり、「絵」が音楽を奏でる

音楽に合わせて即興で絵を描いていく
ライブペインティング。
音楽と絵が融合し、
音楽が視覚となって現れ、
絵は音楽にのって次々に変化していく。
観客はめまぐるしく変わるキャンバスから
目を離せなくなり、
音楽と絵が織りなす世界に酔いしれる。
そんなライブペインティングの
パフォーマーとして活躍しつつ、
絵描きとして独自の作風で作品を創作する
近藤康平さんに、
ライブペインティングの魅力や
絵に込める思いを伺った。

共鳴し合って生まれる自分の知らない世界

ミュージシャンが奏でる音楽に合わせて、
近藤さんは巨大なキャンバスに
手を使ってダイナミックに色をのせていく。
音楽に同期してキャンバスの絵は次々と表情を変え、
現れては消えていく。
さまざまな色の絵の具が踊り、弾け、融合し合って、
思ってもみなかった色や絵が浮かび上がる。
テンポよく何度もキャンバスを塗り替えていく様子に、
観客は一時として目が離せない。
それがライブペインティングの魅力だ。

ライブが始まった時には、
白かった近藤さんのシャツは、
絵の具でベッタリになる。
「手を拭く間ももどかしいから、
手っ取り早く服で拭いちゃうんです。
それに手の方が自分の感覚を
ダイレクトに表現できるから」と笑う。
ライブ中は感性を研ぎ澄まし、
音楽に全神経を集中させ、
聴こえてくる音楽から
見えてくる風景を追いかけていくという。
あらかじめ描く題材などは考えない。
自分でも想像しない絵が現れることもある。
「ミュージシャンと自分、
そして観ている人たちと同じ時間、
同じ空間を共有し、共鳴しあって、
自分の知らない世界が広がる。
予定調和でない緊張感が楽しい」と
パフォーマーとしての醍醐味を語る。

森林学から絵本の世界へ

そんな先鋭的なアートの世界に
身を置く近藤さんだが、
森や自然が好きで
鳥取大学では森林学を学んだ。
取手市の自然豊かな地域で育ち、
家の前には深い森が広がっていた。
子供の頃の遊び場はいつも森。
森の中を探検し、
森の中を散歩し、森に癒されてきた。
「子供の自分にとって森は広大で偉大でした。
神秘的でもあり、
人間の合理性を超えた普遍性を感じる
森そのものに惹かれていたのだと思います」。

大好きな森について学んだ近藤さんだが、
大学院の卒業を控えても
仕事をイメージすることができなかった。
「学術的に森を考えるよりも、
森に行って楽しい、気持ちいいと思う
感性を大事にしてみれば」という
恩師の言葉も心に残り、
将来の見通しが立たないままに
ふらりと訪れた鳥取砂丘で、
「ルールに沿わなくてもいいんじゃない、
表現する生き方をしてみれば?
という声が聞こえた気がしたんです。
そして小説家にでもなろうかと思ったけど、
全然無理でした」と笑う。
卒業後は絵本や児童書など
子供向けの本を扱う
クレヨンハウスで書店員として働き、
絵本の編集者へと転職。
多くの絵本作家との出会いもあり、
充実した時間を過ごせたという。

自分を開放して感じたままを表現する

「自分で絵を描いてみようと思ったのは、
29歳の時なんです」。
それまでは絵など描いたことがなかった近藤さんが、
当時普及し始めたSNSに
文章と一緒にパソコン画を描き
投稿したことがスタートだった。
好きな音楽をイメージして描いた絵が好評で、
多くの人の目に留まるようになる。

それから数年後、ミュージシャンの友人から
「音楽と絵がシンクロしていくライブをやらないか」と
誘われたのがきっかけで
ライブペインティングを始める。
とはいってもモデルがあったわけではない。
キャンバスをどうするか、何を使って描くか、
絵の具は何に入れどこに置くかなど、
自分で一から考えて試行錯誤を繰り返した。
ライブペインティングでは、音楽と絵が共鳴しあい、
二人だから描けた絵、
自分の力だけでは描けないものが出来上がったという。

ライブでは常に感覚を開放することを心がけている。
「自分が自由にならないとお客さんに伝わらない。
絵に正しい、誤りはなく、どれも正解なんです。
けど、その音楽を聴いて感じたままを素直に表現して、
自分をオープンにすることで、
お客さんが自分たちの心を
感じてくれるんじゃないかなと思っています」。

物語を紡ぎ見たい風景を描く

一方、アトリエで描く絵は
「自分の感情を表現する手段」。
「コントロールされていないものの中に
美しさを見つけるのが好き」という
近藤さんの絵は、
キャンバスに絵の具を落として
広がっていく模様から物語を紡いでいく。
そこには人間の力を超える何かがあり、
人や生き物を描き加えることで、
ひとつの作品になっていく。

自然物と対峙して物語る絵は、
近藤さんがこれまでたくさんの
絵本と接してきた中から独自に学んだ手法であり、
「森が自分の感性や感覚を創ってくれた」と語る。
その自然物に対する畏敬の念は、
近藤さんの芸術性の根源になっている。
「自分が描いているのは、自分が見たい景色。
幸せだけどどこか不安とか、
そんな感情や感覚を表現し、
見たことがないけれど
見たかった景色が
生まれるといいなと思って描いています」。

原風景にあるのは取手の深い森であり、
利根川の河川敷であり、
地平線まで見渡せる広い関東平野。
「どこまでも続く地平線と広い空が好き」と、
青を好んで使う。

ライブペインティングでは
多彩な色彩で躍動感あふれる
パフォーマンスを繰り広げ、
アトリエでは繊細な心象風景を描き出す近藤さん。
その絵は、とても優しく温かで、
観る人の心の中にストンと入り込んでくるような
癒しに満ちている。
そして、人は自然とともにあり、
多くの人とともに生きていることを感じさせてくれた。

プロフィール

音は「絵」になり、「絵」が音楽を奏でる

ライブペインティングパフォーマー・絵描き
近藤 康平[Kohei Kondou]

1975年 取手市生まれ。取手市在住。
鳥取大学大学院連合農学研究科卒業 森林学を学ぶ。
ライブペインティング、服飾ブランド提供、
書籍装丁、CDジャケットなど
様々な「絵」のジャンルで活動。
ライブペインティングでは、
これまでに白井良明(ムーンライダーズ)、
坂本美雨、會田茂一などさまざまな
ミュージシャンとセッションを行っている。
2014年よりギタリスト木暮晋也と
ARTでROCKなユニットCANVAS BANDを結成。
2016年 主催のユニットLANDSKAPEを始動。
Instagram/twitter = kondo1975

Information [インフォメーション]

3/10(土)水戸・3/17日(土)郡山・3/18(日)仙台にて
ライブドローイングイベント 上野啓示×近藤康平「美しい世界」ツアー開催予定。
詳細・予約は http://kondokohei.net/