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投稿日: 2017年9月29日

現代書家 熊谷 雲炎さん

心を表現して心にふれる書を

心を表現して心にふれる書を

子供の頃に習った「習字」は、
文字通り「字を習う」ことであり、
いかにお手本通りにきれいな字を書くか
ということが大事なことだった。
そのことに「何か足りないと思ってきた」
という雲炎さんだが、
「アート書道」に出会って世界が変わった。
「人を感動させる書を書きたい」と
話す雲炎さんに、アート書道の魅力を伺った。

「アート書道」作品との衝撃的な出会い

「とにかく文字を書くことが大好きだった」
と子供時代を振り返る雲炎さん。
平仮名や漢字だけでは飽き足らず、
まだ習ったことのない英文字も
見よう見まねで書いていた。
習い事の一つとして、友達と一緒に
書道教室に通い始めたのは7歳のころ。
厳しい指導者のもと、めきめきと上達し、
小・中学校時代は多数のコンクールで受賞。
18歳のときには師範も取得した。
社会人になっても書道を続けていたが、
結婚や引っ越しで東京を離れたこともあり、
しばらく書道から遠ざかっていた。
つくばに戻ってきたのを機に
再びかつての書道教室に通い始めたが
10年のブランクは大きく、基礎からやり直し、
勘を取り戻すのに3~4年かかったという。
こうして再び書道の世界に戻り、
教室も持ったものの、
お手本を真似して
きれいに書かせることに違和感を覚えた。
「書道とは自己表現であるべきなのに、
上手に書くことばかりにとらわれていると
のびのび書くことができず、
書く人の心を引き出すことができない。
だから子どもたちは書道が嫌いになってしまう。
そんなジレンマを感じていました」。

そんなときに知ったのが
美術と書道を融合させた「アート書道」。
もともと美術にも興味があった雲炎さんは、
自由に表現できるアート書道に強く惹かれた。
そしてある時、
ふらりと出かけた展覧会で目にしたのが
アート書道の第一人者、岡本光平先生の作品。
「まさに目から鱗で、
ぜひこの先生の下で習いたいと思った」
という衝撃的な出会いがあり、
先生に指導を仰ぐようになった。

古典を学んで知る書の歴史と奥深さ

個人の感性のままに
独創的な書を創作するアート書道。
書道経験がなくても作品は書けるが、
雲炎さんは独創のためにも
まず基本を学ばなければならないと
「臨書」を大切にする。
臨書とは中国や日本に伝わる
古典(書の名品)を手本として模写すること。
「古典から入って書体や筆法を学ぶからこそ、
自分がイメージする文字を表現することができる」
と臨書にもしっかりと向き合う。

書には長い歴史がある。
甲骨文字から発生し、
長い歴史を経て現在の楷書へと変遷してきた。
その時代の文字はその時代の流行を表し、
文字からその時代背景を知ることができる。
「書を通して歴史を紐解くのが書の醍醐味」
と雲炎さん。
「書の裏側にある歴史にまで踏み込めれば、
書道は何倍も楽しく興味深くなります。
書道の本質的な楽しさをぜひ伝えたい」と語る。

アート書道で表現したそれぞれの「花火」

書のような絵のようなアート書道。
形にとらわれないアート書道とは何を表現したいのか。
「従来の書道作品では、
人を感心させることはできるが
感動させることは難しい。
アート書道を通して、
観た人が心の底から感動できるような、
観る人に訴えかけられるような作品を届けたい」、
それが雲炎さんがアート書道を志す理由だ。

朝餉夕餉(あさげゆうげ)アート書道では言葉の選び方も重要だ。
何を書くかは時間をかけて熟考する。
雲炎さんの作品に
「朝餉夕餉」(あさげゆうげ)がある。
家族で食卓を囲むことの大切さを伝えたくて、
家族団らんの食卓をイメージして創り上げた作品は、
ほかほかと湯気が立っているような
温かさが感じられ、
味噌汁の香りまでしてきそうだ。
五感で感じる、
それがアート書道の魅力なのかもしれない。

そんなアート書道を知ってほしい、
体験してほしいと、
夏休みには守谷市の
アーカススタジオでワークショップも行った。
10日間(全20回)の「書アート体験」に
親子連れなど、総勢201人が参加し、
アート書道に触れた。
書道には篆書、隷書、楷書、行書、草書の
五つの書体があることを学び、
基本的な筆の運びなどを練習してから
取り組んだ課題が「花火」。
作品を書くにあたっては、
「心のイメージ」に最も時間をかけた。
「花火といっても夜空に開く大輪の花火、
みんなでワイワイ楽しむねずみ花火、
庭先で静かに見つめる線香花火などさまざま。
自分はどんな花火を表現したいのか、
心の中に花火を
しっかりイメージしてもらうことから始めました」。

いろいろな書体で「花火」の文字を書いてみて、
自分の中でイメージが出来上がったら
1m以上もある大きな全紙に
大きな筆で一気に仕上げる。
「書は絵画とは違って書き直しがきかない。
一筆で書き上げる一瞬の芸術。
だからこそその人の心が表現されるんです」。
こうして仕上がったそれぞれの「花火」。
老若男女が書いたオンリーワンの「花火」は、
その一枚一枚が観る人に感動を与える
力強さに満ちた作品に仕上がった。
ワークショップ参加者の作品と

アート書道で自己を表現する

「自己表現の一つの方法として
アート書道を広めたい」と雲炎さん。
「私たちは人と違うこと、
外れたことをしてはいけないという
価値観の中で育ってきていて、
子どもも大人も自己表現する場がありません。
アート書道を通して自分を解放し、
自己表現できれば
ストレス解消にもなるのではないでしょうか」
と語り、今後もワークショップなどを行って、
ふだん書に馴染みのない人達にも、
書道に触れる機会を作っていきたいと考えている。

一方、教室では「創作の書」だけでなく、
きれいな文字を書く「生活の書」も指導もする。
文字はパソコンで打つことが主流となっている
現代でも手書きをする機会は意外と多く、
時代が変わってもきれいな文字には誰もが憧れる。
「字が下手なことが
コンプレックスになっている人には、
それを克服して自信をもたせたい。
文字を習うのはいくつからでも遅くはありません。
書の基本を学び、多彩な書の表現方法にも触れ、
書の醍醐味を味わってみませんか」と雲炎さん。
書道を学ぶということは、
きれいな文字を書けるという実用的な面はもちろん、
自己を表現するという内面的な側面も持ち合わせ、
さらに奥深い書の世界へと導いてくれる気がする。

プロフィール

心を表現して心にふれる書を

現代書家 熊谷 雲炎さん[Unyen Kumagai]

東京生まれ、守谷市在住。
2014年 CACA現代アート書作家協会古典コースに在籍
2016年 臨書展/金虎賞CACA現代アート書展/奨励賞 受賞
2017年 臨書展/銀漢賞 受賞
書道教室「粋耀書会」主宰、開智望小学校アフタースクール講師
http://sewanddraw.wixsite.com/kumagaiunen

Information[インフォメーション]

書アート体験
一般の方もOK、親子体験もできます
日時/11月11日(土)11:00〜12:00
会場/ヨーロピアンスクール
つくば市花室989-4
https://europeanschool.jimdo.com/
問い合わせ/080-5472-4951